砂澤ビッキ回顧展
※ご来場、誠にありがとうございました。展示会の様子はこちらのレポート、またはこちらのアルバムでご覧いただけます。

没後20周年を迎える北海道の造形作家、砂澤ビッキを回想する展示会が、カジュ・アート・スペースで行われます。
木を素材にした彫刻作品で国際的にも評価の高いこの北海道のアーティストは、アイヌであるというエスニック背景をあえて表に出さず、自分自身とそれを育んだ厳しいく美しい自然を、独自の感性で表現した作家です。その仕事を、小品を中心に一望できる貴重な回顧展ツアー。その皮切りをカジュにお迎えできることを、心から誇りに思います。
作品だけでなく、天衣無縫、剛胆で愛すべき人柄、病身を押しての命がけの制作を評し、彼をよく知るライターをして、「イワン雷帝のようだ」と言わしめた作家。今回の個展は、ビッキの息子、砂澤アウタと関連のNPO法人のプロデュースによるもの。「生前の父を知っていた人たちとの交流の場にしたい」と、作品だけでなく、関連資料の展示、上映、トークショーや交流会などもおこなう予定です。また、この企画展は来春には札幌、旭川、小樽、横浜を巡回予定。
皆様のご高覧、心よりお待ち申し上げております。
砂澤ビッキ回想プロジェクト 砂澤ビッキ回想展 in 鎌倉
■日程 : 2009年1月24日〜26日
●24日 13:00−18:00
●25日 ・「針生一郎」トークショー 14:00〜
・シンガーユニット"カンナ"のアイヌ民謡 15:00〜
・ 展示 10:00〜12:00、16:00〜18:00
●26日 10:00−17:00
■料金 : 入場無料 ※25日トークショー&ウポポは1000円(要予約)

【針生一郎氏トークショーのご案内】
◆テーマ:「1950〜60年代の現代芸術と砂澤ビッキ」(予定)
[針生一郎氏プロフィール]
美術・文芸評論家。1925年、宮城県仙台市に生まれ。1954年、東京大学大学院美学科卒業。
戦中、学生時、「日本浪漫派」の保田與重郎に強い影響を受け、和歌などの詩作を通して、万葉集、古事記の世界に魅入られる。戦後は転向し、1953年共産党入党、同時に戦後美術批判を展開するが、1960年安保闘争では共産党指導部を批判し除名される。
1962 年からは、花田清輝(文芸評家)、瀧口修造(詩人・美術評論家)、岡本太郎(画家)らとともに、権力構造から払拭された新しい日本の秩序と芸術創造のあり 方を模索し、美術・文芸・社会評論を通してそれらの具現化をめざす。又、ベンヤミンへの傾倒のもと、ダダイズム、シュールレアリズムの理論を手がかりに、 権力が造り上げた構造的暴力としての「生者の歴史」ではない、もう一 つの「神話性」と「古代性」、「呪術性」に裏打ちされた民衆のエネルギーの結集によって造り上げられる歴史の概念による、横の拡がりをもった「死者の歴 史」の視点に立って、この日本社会の制度を変革しようと試み続ける。
また、アジア・日本の民衆の、底辺からの視点によって生まれる民衆芸術運動を提唱し、その確立に尽力し、今日に到っている。その発言は、 戦後より今日まで一貫して言論界に強い影響を及ぼし、特に若い芸術家の思想的支柱としての精神的支えとなっている。たえず時代の深層に潜む問題にメスを入 れ、深い洞察力からくるその発言は、時代の矛盾を突く。そのような「行動する評論家」としての針生一郎の、戦後50年間にわたる批評活動に対して、近年、 再評価の気運が高まっている。
展覧会の国際プランナーとしても活躍。1966年ベニス・ビエンナーレ、1977年サンパウロ・ビエンナーレ日本側コミッショナー。 2000年光州ビエンナーレ特別展「芸術と人権」展のディレクターを務める。2002年には、『日本心中 針生一郎・日本を丸ごと抱え込んでしまった 男。』(監督:大浦信行)が公開され、大きな話題を呼んだ。
著書『われわれのなかのコンミューン』(晶文社1964)『針生一郎評論』(全6巻、田畑書店 1969-70)『言葉と言葉ならざるもの』(三一書房1982『わが愛僧の画家たち』(平凡社1983)『修羅の画家』(岩波書店1990)、訳書ル カーチ『リアリズム芸術の基礎』(未來社1954)ベンヤミン『シュルレアリスム』(晶文社1981)ほか。
※.参加ご希望の皆様へ
参加をご希望される方は、「氏名、ご連絡先、参加希望人数」を、下記までお知しらせください。尚、「針生一郎」トークショーは、ご本人が大変ご高齢でおられるため体調によっては、キャンセルが生じる場合がございます。その際は、事前にその旨ご連絡差し上げたく思いますので、何卒ご理解頂けますようよろしくお願い申し上げます。当日は寒くなることが予想されます。暖かくしてお越しくださいませ。
■会場 : カジュ・アート・スペース

■ご挨拶
父ビッキと母順子の息子として生まれ45年。親父の過去の「縁」が何かを語り始めている。それは、強烈であったが、心地よい感情である。恥ずかしながら、この歳になって初めて「ビッキ」がこれほど多くの人に愛され、影響を与え続けていることを知った。
息子として「ビッキ」を放置していたことよりもむしろ、「ビッキ」という人間を大切に思っていてくれている人達の気持ちから目を背けていたことに対して、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいである。
この回想展を企画したのは、これまで「ビッキ」を支え続けてきてくれた多くの人達に対して息子として感謝の気持ちを表したかったからである。同時に、回 想展で生まれる新しい「縁」を次の世代にも繋げていきたいと思っている。その中から必ず新しい「創造」が生み出されることを確信して止まない。
砂澤ビッキ回想プロジェクト
代表・プロデューサー
砂澤 陣(旧名:アウタ)
■プロジェクト・コンセプト
2009年。没後20年を迎えた日本を代表する彫刻家「砂澤ビッキ」を回想する。「ビッキ」が20代、創作活動の拠点としていた鎌倉を皮きりに、札幌、 旭川、小樽と彼の所縁(ゆかり)の地を巡り、「ビッキ」最後の展覧会となった地、神奈川に戻る。この回想展は、単なる作品の展示ではない。美術館やギャラ リーではなく、想いも寄らない場所からはじまる。そして、「ビッキ」の作品を通して生まれる新しい「縁」 と次の世代を担う若者達とが交わり、互いを刺激し、そこから生み出される新たな「創造」のムーブメントが広がっていくことを目指す。
■Profile
砂澤ビッキ
(1931年〜1989、北海道旭川市出身)彫刻家。作品写真はこちら。
世の中のビッキの作品に対しての認識は先住民族や民族文化が反映されていると思われているが実際はその背景とは完全にかけ離れたところに彼の作品の根本 は存在している。芸術家である前に一人の命ある等身大の人間として樹と言う生命の固まりと向き合い、命の対話をし、新たな命の風を吹き込む事によって彼の 作品は生み出された。作品の多くは民族背景とは別に、偉大なる自然の中に人が生かされ、その生命体の中での人の絆や交わり、誰もが持つ家族の風景やその人 間模様など、命の物語が刻み込まれている。今回の展覧会にある言葉「縁」が今でもコアの部分に生き続けている。
主催: 砂澤ビッキ回想プロジェクト実行委員会
後援: 神奈川県教育委員会、鎌倉市、鎌倉市教育委員会、(社)鎌倉市観光協会、(社)札幌市観光協会
協賛: (有)笹原梱包、商船三井フェリー
協力: カジュ・アート・スペース、先住民族のクラフトショップMiddles、石川球太、林英之、甲斐敬章、松島信行・千代、石島忍、望月昭
企画・運営: アトリエ・ビッキ
NPO法人砂澤ビッキとアイヌ文化を守る会(設立準備委員会)
Art Exposure & Total Design
■お問い合わせ : 砂澤ビッキ回想プロジェクト実行委員会 tel: 011-820-8111(事務局)
メールはこちら
公式ホームページ
■Creative & Management
Executive Producer: 砂澤陣(旧名:アウタ)
Executive Curator: 中居栄幸
Executive Manager: 三好成
Creative Direction: Art Exposure & Total Design
Graphic Design: 濱口翼
Material/Display Design: 浦濱大志
Architect Design: 今野晶人
Logo Design: 望月昭
Photo Works: 甲斐敬章
Management Support: 長谷川由希、蔵田勝栄、佐藤慶郎
Commentator: 針生一郎
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