鎌倉と北海道、森とアート。
聞けばKhajuも11周年という。
11年前、鎌倉に住む僕のいとこの友人という人が、草ぼうぼうの廃屋を手入れして使うという。大丈夫かなあ、と心配だったがその人は見事廃屋を再生させてアートスペースを作った。
ほんとにやってしまったねえ。
まさか11年も続くとは。そのころ僕は北海道で林業の現場作業をしていた。その前は東京で建築設計事務所で働いたり、山梨で友人宅を手作りしたり、音楽をやったりしていた。
今は、旭川で森林NPOを立ち上げ、森のなかに事務所兼自宅の仕上げ作業を続けながら、主婦をしている。
家は、伝統的な木造、断熱材は厚さ55cmのわらブロック(ストローベイル)、仕上げは内外壁とも伝統的な土壁。着工から1年半、今年夏に外壁の仕上げ塗りをする予定。夏は窓をしめておけばひんやり涼しく、冬は書斎用という小さい薪ストーブだけで暖をとれる。木で作ったトイレは、オガくずをためた袋の中に便がおちるようにし、取り出しは外からやる。台所のシンクは木製で、樽づくりの要領で大工さんが作ってくれた。井戸も、大工さんが細い水脈を見事にあて、生活水はなんとか間に合った。森の木は家ぎりぎりまで残し、日陰ができるようにした。
構造・設備は作ってもらったが、内装や建具はまだほとんどない。生活しながらの造作は三度手間。ありがたいことに出来たばかりのNPOへ仕事の依頼もあり、主婦・子守りしながらでは家づくりは後回しになってしまう。子供も来年は小学校にあがる。NPOを軌道にのせ、かみさんに家にいてもらえるようにかせぐのが当面の目標。二人目の子供もほしい。
NPOは縦割りになっている森林の管理をつないで、地域の森にみんなが責任を持って関わっていける仕組みを作り出すのが最終的なミッション。
いきなりそこまでいけないので、今は森林体験やセミナーの講師が主な仕事。薪ストーブユーザー向けに山の管理を学ぶイベントや、学校林の体験学習も企画した。教育大の非常勤講師の仕事ももらった。セブンイレブンの助成に応募し、森林環境教育のイベントをやって、3月までに教材づくりの追い込み。
今年の重要な仕事は、200haある旭川市有林を、市民参加で管理する協議会が立ち上がるのでたたき台づくりを指名された。市有林の指定管理者の業務の積算もやった。協議会メンバーを中心に実施団体をつくる。僕たちのNPOもメンバーに入る。もし指定管理者に選定されれば、信頼される実績の第一歩になる。市有林は、カタクリの大群落で全国的に有名な場所。
「やろうとすることは意義あるけど、食べていけるのか?」とみなさんに心配される。まだめどは立たないけど、いろんなニーズや手応えがある。地に足つけて、戦略を持って、いろんな人たちと協力しながら、ダイナミックに森の管理を変えていきたい。
アートの人たちとも将来はコラボしたい、とその鎌倉の友と電話でもりあがった。そう、森づくりは人の生をこえていく。夢をつなぐには、アートの力も借りなければ。
NPO法人森林再生ネットワーク北海道
もりねっと北海道(略称)
カジュ通信 2008年新春号より
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