−砂利道の荏柄天神参道− 路地フェスタに思う
2009年カジュ通信 夏号より
路地フェスタが終って早くも3ヶ月が経とうとしている。
フェスタでアート&パフォーマンスストリートとしてサルサや獅子舞がつかの間の賑わいを見せた荏柄天神参道も、今は濃い緑と蝉時雨ですっかり夏の佇まいである。
荏柄天神参道は路地と呼ぶには少し広すぎるように思えるが、砂利道であること、車よりも人の通行料が多いこと、猫が時折道をよぎることなどから、路地と呼んでもいいのではないかと思う。
この参道は参道でありながら周辺住民の生活道路としても使われているので、水たまりができる、ほこりが立つ、歩きにくいなどの理由で、これまでに「舗装したほうがいいのでは」という議論が何度か起こった。
古くには一の鳥居そばの階段を撤去して県道とつなげるという意見もあったそうだ。結局砂利道のままがいいということになったのだが、そうした議論を経たことで住民の間に砂利道への愛着が深まったように思う。
ではなぜ住民は砂利道を選んだのだろうか。
さらに、砂利道はアスファルトのように熱をためず、雨水を地下に溜め込むので、特に夏場の気温は周辺より1,2度低いように感じられる。周囲に緑が濃いせいもあるが、この緑も砂利道のおかげでより濃くなっているのかもしれない。
参道沿いの我が家には昨年までクーラーが無かった。参道の緑を通して吹いてくる風でこれまで暑さをしのいできたのである。
また、車は参道に入った瞬間に速度を緩める。舗装してあればそうはいかないだろう。砂利道の主役は車ではなく、人なのだ。
自転車に乗った小学生が歓声を上げ、猫を追い散らし、大人がそれを笑いながら見守るという光景がくりひろげられる。
「静かでしょう。」とよく言われるが、人通りは意外にある。皆参道の心地よさを感じているのだと思う。
路地に欠かせないものは人と人とのつながりだろう。参道にはそれがある。
路地が人を、路地フェスタを呼び、フェスタで人と人がつながり、さらに又人を呼ぶ。路地フェスタに拠点として参加するのは今年で2回目だが、そのような輪がどんどん広がっているのを実感できたし、またその輪の中に入れたことをうれしく思う。
路地フェスタに参加された皆様、本当にありがとうございました。来年もどうぞよろしく!
第4回鎌倉路地フェスタ 拠点No.18つつじ庵主宰 田川陽子
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