くすりすく Vol.16
2009年カジュ通信 秋冬号より
「くすり」と「りすく」はうらがえしの関係です。
正しく使わないと「くすり」は、身体「りすく」になりかねないものです。
薬に関することを「つれづれなるままに」書いてみたいと思います。
リクエストなどありましたら、是非ご連絡ください。
by 高梨 真光
むらさきなおはなし
深まりゆく秋となってきましたが、今年の鎌倉の紅葉はどうなるでしょう。イチョウは台風の塩害で、今年は美しい黄金色とはならないかもしれません。あとは暮れ近くのモミジに期待しましょうか。。。さて今回は染色でも使うムラサキについて書いてみましょう。ムラサキという植物は、根が暗紫色であり、これが生薬や染料となります。逆に地上部は紫色ではなく、初夏に咲く花の色も白いのです。時代劇の病気のお殿様や、歌舞伎に出てくる助六は紫色の鉢巻きをしていますが、この紫色はこの植物で染めたものとされ、薬効も期待して「病鉢巻き(やまいはちまき)」というのだそうです。ただし、助六は元気過ぎるということで、それを鎮める意味で、鉢巻きの結び目が逆なのだそうです。
ムラサキの根は生薬としては、紫根(シコン)といいます。抗炎症作用や、殺菌作用、傷のなおりを促進する作用などがあります。
漢方薬としては、紫雲膏(しうんこう)という軟膏が良く知られています。これは、江戸時代に華岡青洲が考案したものとされ、漢方薬とは言いながら、日本で生まれた処方です。紫根と当帰(トウキ)という生薬に、ゴマ油、ラード、蜜蝋(みつろう)を加えて作られたもので、赤紫色の軟膏です。
一般的にはヤケド、ひび、あかぎれ、痔などに用います。これから寒くなってくると起きやすい症状に用いる薬とも言えるでしょう。特にヤケドには効果があるので、おすすめしたい薬なのですが、原料にゴマ油などを用いているため、ニオイが気になるという方や、紫色が強いので衣服などに付着すると色が落ちにくいということで、敬遠する方もいらっしゃいますが、自然界の原料のみで出来ているということで、最近この紫雲膏の人気が復活してきたようにも思えます。また生薬を使っているため、メーカーによって、軟膏の色加減に差がありますが、効果は変わりません。
大倉薬局
鎌倉市雪ノ下3-8-32 t/f 0467-22-0394
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