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生きる糧

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2009年カジュ通信 秋・冬号より

 2003年に、ロシアのシベリアで、展覧会とレクチャーをしたことがあります。それまでの、私の、ロシアに対するステレオタイプのイメージは、80年代までの“冷戦”を背景にした実にお粗末なもので、この体験は、それを一気に払拭するものでした。

 その時のロシアは、経済状態が混乱を極めていて、現地のアーティストが、毎日のお惣菜に「ひき肉でも肉が高くて買えない、、、。」と言っていました。
、、、なのに、町には、バレエや音楽のホール、大小ギャラリー、シアターがあっちにもこっちにも、、、!私が行ったのは夏でしたので、お休みのとこが多かったのですが、演目が最も充実するのは、マイナス40℃になるという極寒の冬なのだそうです。
ソ連時代の教育のよい遺産なのでしょう、あらゆるアートが生活の“必需品”として大切にされている様を短い滞在の中でひしひしと感じました。ひき肉買えなくてもバレエは観に行くの?そっちの方が生きるのに大事?かっちょいい。大人も子どもも、かっちょいい。

 モスクワの地下街でも目撃。立ち並ぶキオスクの中に油絵売ってるお店がある、、、!あら、お客さん買ってる、、、!まるでチョコレートや花を買う気軽さで、小さな油絵を、フツーのおばちゃんが買ってる!!日本のどこの地下街にこんな光景の見られるところがあるでしょう。

 「アーティストたるもの、アートで金儲けを考えるのは言語道断」という美しい考え方があります。ロシアのケースにしたって、彼らがあれほどアートを大切にできるのは、社会主義だったからで、これからは同じようにはいかないかもしれません。
アートとお金、、、相性が悪いのに腐れ縁で長年連れ添ってしまった夫婦のような関係です。毎回、アートプロジェクトの金策には、作品の制作以上のエネルギーを使っていますよ。

 しかし、この両者、ほんとに両立しないものなのでしょうか。
プロのアーティスト、というのは、「それで食ってるアーティスト」という意味です。そのお金が、作品を売ったものでも、主旨に賛同してくれた個人や団体からの助成金でも、関連グッズの企画販売でも何でもよろしい。自分以外の人を巻き込んでアートするなら、プロは収支に責任を持つべきですね。(ボランティアのみんな、ごめんよ!!)

 その自治体の経済が何で成り立っているかは、土地土地によって違います。
あるところは自動車産業でしょうし、あるところは、りんごの生産かもしれません。
その中にもし、アートで町の経済が成り立っている自治体があったら、どんなに遠くでも行ってみたいと思うし、きっと住みたいと思うでしょう。多くの“美しい”アーティストもきっとそう思うでしょう。そのためには、みんなでいっちょ、ここらでお金と向き合いましょう!
野菜や牛乳といっしょに、油絵買ってくれるような人を増やすために。

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