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往復書簡(27)中津川ゆうこさんから宮部誠二郎さんへ 2011年早春

テーマ【 「昔からある鎌倉らしさ」と、「今これからの鎌倉を感じるもの」の結びつき 】

宮部誠二郎さま

拝啓

新しい年になりました。

2011年の始まりは、新しいノートをおろしたようなぱりっとした気分でのスタートです。今のところ。

宮部くんはいかがお過ごしですか。新しい年の息吹を感じていますか。鎌倉で育った宮部くんと、住んで数年の私。共通の知人友人いろんな人を交えながら、たわいもない雑談からまじめな内容まで本音で話せる仲間となれた昨年は、とても有意義な年だったなぁと思っています。

私も鎌倉で暮らして数年過ごすうち、鎌倉で知り合った方はいつの間にかたくさん増えてきたのを実感してきています。それは何かしらおもしろいものをつくる人だったりとか。何かしらおもしろいことを発言する人だったりや、おもしろいことを考えている人だったりね。おもしろい人や作品、場所なんかを紹介するのは得意な人だったりとかも。まぁともかくとにかく、おもしろいことへの好奇心が特別に強い人々。

年齢性別はもちろんのこと、仕事や志向もみなそれぞれ個性的だけど、ただ共通しているのは、鎌倉の暮らしや人々が好きだという気持ち。

他の土地で暮らしている人より熱くて強いのだろうなと思う。きっと。

それは宮部くんも、chameleonの「フリーぺ―パーKAMAKURA」の取材なんかでいろんな人に携わって、同じような事を感じているのかもしれないね。

そうやって鎌倉が好きで住み始めた人々は昔からいて、その中にいわゆる文化人と言われる人たちもいたでしょう。そういう人たちが何かしら引きつけられた、鎌倉に何かを感じた嗅覚を、私たちもどこかで持ち合わせていられたなら、うれしいなと思ったりする。

そして、そういう感覚を何かのかたちで残せたらって思ったりする。

最近そういうことを意識する機会が多い。意識することなくても、イラストなんかの制作に反映されて、「私らしい」という個性の一部になっているようにも感じる。まぁ、私の思う基準は曖昧模糊としたものでしょうけれど。

宮部くんはchameleonでの活動や、世界遺産のシンポジウムに関わったりと、鎌倉の今の有りようについて考える機会が、きっと私よりたくさんあるのかなぁと思うからこそ・・・・・。

「昔からある鎌倉らしさ」と「今これからの鎌倉を感じるもの」の結びつき。

てなことを、宮部君が思うことを今あえて聞いてみたいです。

どうぞよろしくね。

敬具

中津川ゆうこ(なかつがわゆうこ)プロフィール

セツ・モードセミナー卒。ハンドメイドの小物製作を始めた後、イラストレーターとしての活動を開始。主に女性向けの雑誌や書籍等、カタログ、Webサイト、ロゴ等のイラストを手掛ける。作品展以外にも、IKEDA ART Galleryでの布小物ワークショップ開催、江ノ電イベントでの展示、navy-yard,nabiでの布小物作品制作・Tシャツデザイン&販売など、多岐に渡って活動中。鎌倉市在住 http://www.yuu-s.net/

中津川ゆうこさま

拝啓

 

まだまだ寒い日は続いていますが、新年に入ってから気持ちのよい天気が続いていますね。今年も心身 ともにこのような気持ちのよい日が続けば嬉しいです。

でも寒いのは嫌いなので、早く暖かくなって欲しいものですが...。

 

去年を振り返ると、中津川さんやカジュの皆さんをはじめ鎌倉の人との出会いが沢山あった年でした。

2011年はどんな年になるのか。自分ノートにはどんなことが綴られるのか。今からワクワクしています。 年末に、お互いのノートを見せ合いましょう。笑

 

さて、頂戴したお題ですが「昔からある鎌倉らしさ」と「今これからの鎌倉を感じるもの」の結びつきに ついて...(なんて難しいお題を...笑)

 

正直、私はまだ鎌倉らしさを上手く言葉にできません。ですが、何か鎌倉について漠然と感じていること、 それは「熱」です。まちが放つ、人が放つ「熱」。

今も昔も鎌倉には熱い人が多く集まってきた、いや生まれてきたからこそ、鎌倉が魅力あるまちになって いったのではないかと思います。きっと鎌倉の土地には、なにか人を熱くさせる、あったか床暖のような 不思議な発熱パワーがあるのだと思うのです。

 

20年近く鎌倉のまちに住んでいながら交流が無かった私が、chameleonという団体で活動を始め鎌倉の まちと向き合い接し始めると、すぐに多くの友達や仲間ができました。しかも、性別や年齢なんて関係無し にです。5年前の自分では考えられませんでした。今すごくこのまちの温かさを感じています。これも、 鎌倉の熱が私に伝わってきたからかもしれません。

 

活動を通して、鎌倉の熱い人に出会う度に、活動への想いやまちに対する興味が更に湧いてきました。 このまちに惹かれて熱いことをやっている人は、また人へと熱を伝えていくんだなと感じました。物質同士 が熱を持ち、ある温度に達すると溶接されるように、土地の熱が人と鎌倉を繋ぎ、人がまた人に熱を伝え 繋がっていく。このようにして昔から、多くの人が発してきた熱がこの土地に蓄えられ、今に熱を伝えて いるのかもしれません。そしてこれからも、益々このまちに熱が蓄えられ、人を熱くし繋げていくんだと 思います。

 

ですが、熱は接しないと伝わってきませんし、発さないと伝わらないものなのです。寒がりな私は、 これからも熱を感じていきたいし、冷まさないように、自らも発していけたらなと思っています。

中津川さんが鎌倉から感じた「熱」をとおして、今年どんな作品が生まれてくるのか楽しみにしています。

それでは、また鎌倉のどこかで。

                                                                                 

敬具

                                                                                      

宮部誠二郎 http://chameleon-kamakura.com/

2007年1月に立ち上げられた学生団体「chameleon」の代表。現在は卒業した社会人も含め11名で活動中。 主な活動内容として、現在はフリーペーパーKAMAKURAの企画、製作、イベントの運営や手伝いを中心に行っている。

鎌倉路地フェスタの運営でも中心的存在。「まちの様々な魅力をつなげていきたい。もっと面白いまちにしていきたい。そんな想いで活動をしています。」   鎌倉市在住。

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