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往復書簡(39) 山口功さんから日高保さんへ 2014 新春

テーマ 【 カミのご縁に感謝 ! 】

日高 保様

貴兄と初めてお目にかかったのは2007年に田中牧子さんのお声がかりでKhajuの庭に「木と土でできた小さな小屋、家仕事塾」の一環として襖張りワークショップに参加させて頂き、御一緒の機会を得た時からでした。

イベントに参加していた女性が連れていた子供にジュースを飲ませていましたが、その容器にSUCOの文字表記。ポルトガル語と判った事から別室で待機していたご主人のイタマールと対面、以来、彼の自宅にも2~3度よばれては久美子さんと彼の手料理、フェイジョアーダをご馳走になり、彼が壁に描いた絵、障子に処々描いた絵を拝見、大きな窓一面にカーテン代りとして広げたブラジル・日本の両国旗。インテリアの面白さも感じました。二児の父母である彼等の結婚式と帰国のサヨナラパーティーで久し振りに二度目の対面でしたね。

それ以来、数度しか会う事は出来ませんでしたが、最近になってフェイスブックなるネットを通じて、日高さんの御子息の事、御自身の仕事の色々、考え方を写真と共に拝見させて頂き、小生と相通じる所が多い事に気付き親近感を強めさせて頂いております。

一級建築士としての凄い仕事に拘りを持ちながら、「きらくなたてものや」が示す通りに、いい意味で肩の力を抜き様々な遊びに参加しておられる。好きですね。真面目に遊ぶと云う行為はクリエイターにとっては必要不可欠と考えていますので、京都、ラグビーと共通する処も多々あるのも親近感を強める要因の一つかと考えます。

小生よりは少々若年ですが学ぶ処大です。最近のfbで拝見したのですが読書感想文「舞台は変わる」について書いておられる事に同感ですね。確かに古代の地層を知り現代建築の礎とする事は必要大事と考えます。小生の考えですがデッサンと云う言葉、決して絵画だけに限らないと思っています。その人の生き様、思考の基、物事を見すえる目力。それら全てがデッサン力と考えています。

そろそろスグキが美味しくなる季節ですね。母が亡くなって以来、正月の御節料理でゴマメ(東では田作り)だけは家内が白味噌の雑煮と共に、賞味させてくれるのですが酢ゴボウだけは出来(でけ)へんのどす。しゃーないです。又、いつの日か掛田商店、薫さんの美味しい『死神』で一献語りあいたいですね。寒さ厳しい折から御自愛の程を、失礼致します。

山口 功

山口 功様

このたびは「往復書簡」のご指名、ありがとうございます。

そうでしたね、初めてご縁をいただいたのは、カジュアートスペースで行った「家仕事塾」でした。襖紙を張り替えるワークショップで、講師としてお越しいただきました。いつ行ったのか調べましたら、約7年前の2007年3月11日でした。参加者の方々と作業しながら、また休憩時間にたくさんお話しして、とても楽しい時間を過ごした印象があります。とくに参加されていた方の一人がブラジル人で、彼との会話や、山口さんのブラジル紀行のお話を聞いていると、自分たちもブラジルに旅しているような気になりました。

※襖紙張り替えワークショップの様子は、「きらくなたてものや」のブログ(2007.03.11付)をぜひご覧ください。(ブログURL:http://blog.goo.ne.jp/kirakunat)

その一方で、お若い頃、表具師として修行していたご経験があったとはいえ、お会いする前は確か画家さんと聞き、またカジュでもおなじみ、イラストレーターのUSHIOさんのお父さまとご紹介されていたので、手際よく襖の下地骨を組み、紙を張る姿に、若い頃の仕事は、どんなに年月が経っても身についているものだ、と驚きすら覚えました。こうして画家としての山口さん、各地を旅してきた山口さん、表具師としての山口さん、様々な顔をお持ちですが、この日、またその後数度お会いして感じたのは、どんな状況や境遇であれ、楽しむことにエネルギーを注ぎ、生きることをとても楽しんでこられてきたんだな、ということです。その証拠に、いつも柔らかくニコニコしているお顔にその生き様が表れています。その幸せそうなニコニコ顔の山口さんとお話ししていると、こちらも楽しい気分になってきます。そして人生の先輩として、私もそのように年を重ねていきたい、と思うのです。

最近ではフェイスブック上でも、実際にお会いせずとも交流する機会をいただいていますが、私が記事を上げるたび、いつもあたたかいコメントをいただくので、本当にうれしく思います。山口さんの応援の言葉は、とても元気づけられています。最近しばらくコメントをいただいていなかったので、どうしたのかな…と、とても不安だったのですが、ネット環境上の問題だったとのことで、ホッとしています。

とはいえやはり、文明の利器に頼らず、たまには直接お会いして語り合いたいですね。昨夏の夜噺会で、掛田商店さんにご手配いただいたお酒「死神」は、その名前とは裏腹に、本当に楽しく、おいしいお酒でした。お酒はたしなむ程度で、量は飲めませんが、京都の話、ラグビーの話、芸術の話…、と様々な共通項を肴に、またご一緒に「死神」を味わいたいと思います。「死神」に出会えるということは、今を生きている証拠。死を考えるということは、生きるを考えるということ。そういえば掛田商店さんは、毎年カジュ祭で、ご縁のきっかけとなった「家仕事塾」の成果品でもあるカジュアートスペースの裏庭にある小屋でお酒を提供してくださっています。これも今考えれば不思議なご縁、神様のお心遣いのように思います。

ということで、7年前にご縁をいただいたカミに感謝!また今後引き合わせてくれるであろうカミのご縁を心待ちにしています。

日高 保

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