往復書簡(23) 波多周さんからアルバレス湊 万智子さんへ
【テーマ】コミュニケーション
アルバレス湊 万智子さま
万智子さんと出会って何年になるのでしょう?思えばおもしろいご縁でした。
出会ったときから「人と人を結びつける仕事をしたい」と言っていましたね。
気負うことなくさらりと自らも楽しんでやっています。
仕事の内容は違いますが私も人が好きで建築をやっています。
そんなことが私たちの共通点かも知れません。
私はまちなみサロンをつくりたい、と言ってきました。
‟まち”に関心があっても講演会や説明会では時間が限定されていて、参加できない人がいます。
常設のサロンのような場所があれば興味を持った人が集い情報を共有することが出来ます。
まちづくりは行政や専門家だけで行うのではなく、様々な立場の人々がお互いを認め合って、より良い方向を見つけてゆくものだと思っています。
最近、様々なところで「コミュニケーション・コミュニティー」という言葉を耳にします。
大切なこととして扱われていますが、もともと日本語ではありません。
日本語に直すと何になるのでしょう?
「意思疎通、ご近所?」ちょっと合っているけれどちょっと違う。
本来日本人はコミュニケーションの概念を持ち出すまでもなく、家族と地域の人たちと良好な関係が築けていたのだと思います。
江戸時代の長屋や醤油の貸し借りがあったご近所、そんなところで暮らすにはかなりのコミュニケーション能力が必要であったと思います。
それが何時失われたか?やはり戦争が分断してしまった。
戦後、高度経済成長とともに物質的には豊になった。
でも、心の豊かさを実感している人はどれだけいることでしょう?
あなたにとって心のよりどころはどこですか?
今、その大切さに気付き、取り戻したいと思っている人が増えているように思います。
電話やメールは便利だけれど会って時間と空間を共有する、同じものを食べて飲んで過ごす。
大切なことだと思っています。
そんなところに万智子さんは今年7月から「鎌倉美学」をはじめました。
コンセプトは、街のコミュニケーションカフェ、これからの展開が楽しみです。
建築家 波多 周
http://shuhata.exblog.jp/
波多 周さま
男と女の友情は成り立つのか!
という永遠のテーマに「YES ! はい! Si ! 成り立つよ」って思える男友達が、周ちゃんかな。定年までサラリーマンのつもりだった私に
「会社に雇われない生き方」とか「フリーランスのすすめ」についての本を紹介してくれたよね。仕事人間だった東京を脱出して鎌倉へ移り住み、子供たちが大学生になるまでは自分の夢はお預けと考えてた私に、自分の人生を生きるという気づきをくれたよね。
自分の人生は、会社に決められるんじゃなく、自分で決める。
おかげで、(あてもなく)会社を辞めることを決意。
決意表明後、5年来のお付き合いの方との打ち合わせの時に
「この店締めることになったんだけど、誰かやらないかしら」という、突然舞い込んだお話に一人じゃ無理だけど、仲間たちと一緒ならできるかもと、カフェ開業を決意。
資金ほぼゼロのなか、ペンキ塗りや家具のリメイク、カフェの巨大な壁絵の制作と
たくさんの人の心が集まって、得意分野を持ち寄って完成(いや、まだまだ進化中)した。
周ちゃんには鍵のかかりにくいドアの調整でお世話になったよね。
「コミュニケーションカフェ鎌倉美学」のテーマは、スタッフもお客さんも憩える場であり、自己実現の場になること。
コミュニケーションとは双方向でつながっている。つながりあって、支えあっているから、いろんなものが生み出されてく気がする。
心がこもった助け合いこそ、本当のコミュニケーションだと実感するのは
「波多さんに紹介されて来ました」という方が本当に多いこと。
心をこめて紹介してくれてるからこそ、来てくれる。
毎月開催しているカフェライブは、持ち込み企画も増え出した。
自己実現の場を提供する「カフェマスター方式」第一弾は、日曜日の「ベジカフェ」。
会社勤めの料理研究家に一日カフェのマスターをしてもらい、
夜な夜な自宅で研究しているベジタリアンフードを発表する「ベジカフェ」の開催。
自分のお店を持たない人でも、ここで第一歩を始められる。
周ちゃん始めたくさんの仲間からもらった「心」を、このコミュニケーションカフェで広めていきたい。
こんな楽しい生き方を、仲間からもらったことに感謝。
周ちゃん、これからも楽しいこと、おいしいこと、うきうきワクワク企てようね。
アルバレス湊 万智子
≪カフェ 鎌倉美学≫
Tel&Fax 0467-22-2233 http://www.kamakurabigaku.com/
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