往復書簡(25) 赤松加寿江さんから大社優子さんへ
【テーマ】 これからも
不休不眠で遊び働く写真家 ささこへ
大社優子:通称ささこは、写真家であり、クリエイティブなアーティストであり、ブルーグラスのバンジョー奏者でもある。湘南エリアの人なら、彼女の写真は、一度ならずとも見てるはず。
「今日も寝てないの」といいながら、仕事も遊びもまっしぐら。
飲んで壊れる姿も、他人事じゃなくて、そんな風に共感したのが、つきあいの始まりかもしれないね。
accaが御成町にあった頃、レンガ造りの蔵の前で「d-u-c-o」 「a-c-c-a」と叫びながら狂ったように踊っていた頃から、もう5年以上。
蔵そのものをピンホールカメラにして、外の風景を原寸大で写し取り、最後に中をピンク一色に塗ったときは、よくぞまぁと驚いた。
とびきりのワインとおいしい食べ物を作り寄る「ボナペティ」パーティーも最近やれてないけど、胃袋も肝臓もよく合うおかげで、どれだけ一緒に飲み食い歌いしてきたろうか。
リーデルグラスをよく割るささこのおかげで、ずいぶんグラスも減ったけど(笑)それもまあひとつの記録?私の買ったばっかりのピンクのパンツに、赤ワインをひっかけても、飲みすぎて、捕らえられた宇宙人みたいになるささこを運んでも、お互い失った記憶をたどっては情けない気持ちになっても、ささこには感謝してる。
家族と仲間と仕事と自分の表現を大事にしながら、お互いハードな30代を過ごしているけれど、生き様を尊重できる関係が、気持ちいい。お互い負けず嫌いは天下一品。それを生かして、これからも一緒に頑張っていきたいね。
ささこが夢中になってるバンジョーも、私もフィルドをちゃんと練習して、キッチンシスターズに復帰するから、しばらく待っててね。そして、もうそう若くないんだから、あまりがんばりすぎないように。
大人になってからできた大親友ささこに、感謝を込めて。
かずえ
*赤松加寿江
一級建築士、共立女子大学非常勤講師 専門は都市史、建築史
建築設計、西御門サローネの運営とともに、鎌倉、イタリアを対象とした調査、研究を続けている。
愛すべき姉妹 加寿江へ
最近、かずえと私は似てると言われることがある。前からそうだった?ちょっとピンとこないけれど。あまり認めたくないけれどね、そういえばと思うところもある。
強がりなところ。負けず嫌いなところ。
さみしがりなところ。調子に乗るところ。
おっちょこちょいなところ。頑張りすぎるところ。
たぶん、そんなところが似てる。
もっと良いところはないのかって?
やさしい、とか気が利く、とか。
うーん。あってもあまり言いたくないわね。だって調子に乗るから。
だって、強がりも、負けず嫌いも、寂しがりも、それが何よりの私たちらしさ。
あと、たぶん泣き虫っていうのもあるね。
強がりだから、お互いそういう顔はあまり知らないかも。でもきっと泣き虫、でしょう?
お互い時間がすれ違ってしまうことが多くて、愚痴を言いたげなとき付き合えなくてごめん。
ほーんと冷たいよね。ささこって。電話の向こうでかずえのあきれる顔がいつも目に浮かぶよ。
それでも、私の夢中になっていることに協力してくれてありがとう。
ちゃんと見ていてくれてありがとう。良くても悪くても、評価をきちんと伝えてくれたり
私が右往左往しているときに、すごく冷静に意見をしてくれたり、
ときどきかずえは大人に見える。
どん底なときにちゃんと一人で踏ん張ることができたり、本当に大変な時は愚痴一つこぼさなかったり、ときどきかずえの強さを肌で感じることがある。
そんなときは、私も背筋を伸ばしてみるんだよ。前を見なくちゃって。
「キッチン・シスターズ」って元々私たちのことだったね。
今、バンドは随分大所帯になって、カタチを変えているけれど。
私たちのホームは変わっていないと思っているよ。キッチンで言いたいことを言って、飲んで、笑って。
妹のような友達、友達というより姉妹。ときどきお姉ちゃん、ときどき妹。
たまには役割を変えながら、これからもよろしくね。
またゆっくり、ふたりで飲もう。
ささこ
大社優子(おおこそゆうこ) ・・・・・・横浜生まれ、現在鎌倉在住。大学卒業後、(株)アマノスタジオに入社。
同社代表、写真家 森日出夫に師事。2001年独立。
イラストやデザインを手がけるオダギリミホとユニットduco(デュコ)として広告、アート作品などを幅広く手掛け、活動中。http://www.duco.jp/ 個展等展示多数。
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