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往復書簡(36) 増田繁穂さんから八原忠彦さんへ

【テーマ】鎌倉に流れる時間=つながる心

かまくら茶論  八原 忠彦 様

厳しかった冬の寒さから草木が芽吹き、小鳥たちのさえずりが聞こえる季節になりました。

時々、八原さんのかまくら茶論に参加させたいただき、鎌倉に流れる時間を皆さんと共に楽しみながら、ありがたく過ごしています。

八原さんの自己紹介欄を拝見すると、ヨーロッパ経済史・市民社会論・経営史論等々、多岐にわたる勉学をされた事を、その後の人生にうまく生かして、現在に至っているようで、うらやましい限りです。

私の方はといえば、学校を出てから流通業界(百貨店)一筋にひたすら走り続け、マーケティング・マーチャンダイジング・顧客サービスなどに明け暮れしているうちに、気がついたら定年を迎えたようなあわただしい人生でした。

それだけに、むかしから鎌倉に流れるゆったり時間が好きで、現役時代から日本中世史・鎌倉考古学などの講座や、日本中世史の先生について学びながら、定年後は一時、鎌倉・金澤のシティガイドなどにも関わっていました。

カジュアートスペースに集う顔ぶれとしては、私が一番の年長者?(1936年生まれ)だと思っていますが、若い人たちからエネルギーをもらったり、楽しい話を聞いたりすることから、いまの元気な自分があると感謝しています。

かまくら茶論では若い人たちから中高年の方々など、老若男女が集まって、いま話題になっている話や、それぞれの経験談など幅広い分野の話を楽しみながら、自分の知識も広がります。これからもかまくら茶論の開催をよろしくお願い致します。

私の住まいは横浜(磯子区)ですが、カジュの会員さん・鎌倉路地フェスタメンバー・鎌倉コトリのスタッフなどを通して、お陰さまで鎌倉にたくさんの友人ができました。

今後もこれらのご縁を大事にして、鎌倉ならではの<つながる心>を育くんでいきたいものと思っています。

一方的に私の話をしましたが、八原さんのご意見も聞かせていただければ、ありがたく幸いと存じます。

それでは季節の変わり目ですので、御身ご自愛ください。

増田 繁穗

鎌倉コトリ 増田繁穂 様

鎌倉の街も緑と花々に彩られ、爽やかな風が心地よく感じられる季節になりました。コトリのお店にも、そんな風が流れ、温かくユニークなアイテムを手に取りこころ和ませる人々で、楽しげな雰囲気に包まれていることと思います。長老の増田さまと若いスタッフ、そして店に並ぶアイテムの醸し出す空気が街を流れる風に沿い、鎌倉にひとつの風景をつくりだしているような、ふとそのようなイメージを思い浮かべております。

このたびは丁重なお手紙を頂戴し、ありがとうございます。「かまくら茶論」にお出でいただいたり、またコトリの店頭でと何度かお話させていただきましたが、いつもゆったりとにこやかなお話しぶり、長い間の営業一筋の仕事で培われたものかと思料、敬服いたしております。我が身を省みてまだまだ学ぶこと多くあるべしと肝に銘じたりもしております。

さてカジュ・アート・スペースの一室で「かまくら茶論」を始めてほぼ1年半になります。半年ばかりお休みをしましたが、お陰さまで皆さまのご支援に助けられてなんとか続けることができております。テーマを決めるわけでもなく、また誰かを講師に勉強するというわけでもなく、その趣旨はなんとも漠然としたままですが、その香りを楽しみにご参加いただきありがたいことと思っております。

何かと気がかりなことが多いこの世の中、こうあるべしと訴えるイベントや勉強の会は世の中に多々行われており、それはそれでそちらにお任せすることにして、参加する人が自由に話し、思いを交流させる場、自在に話が融合し、紡がれ、つながっていく、そんな場があればよいな、というのが始めた動機です。そのような話の輪から、何かはわかりませんが何かが生まれ、それをこころの片隅に置いてそれぞれの暮らしに帰っていく、とそのようなことを考えた次第です。

もっと単純に、この気ぜわしい時代に日常を生きざるを得ない状況で、ふと立ち止まって自分の生き方とか暮らし方を振り返ってみる、日常を一休みして日常を見直してみる、ということに意味があるのではないだろうかと思います。もっとも、それが普段の暮らしに何の役に立つの、余計な道草では、という考えもあるかもしれませんが。

偶々居合わせた老若男女が年齢、職業等々が何であれ、それぞれひとりの人間、日々の暮らしを生きる人間として、ざっくばらんに話を交わして、偶然の出会いと偶発的な話の広がりを楽しめれば、豊かな心持になれそうに思います。なるほどそうなんだと合点して、自分の暮らしを何ほどか刺激されれば、愉しいのではないでしょうか。そこに珈琲の香りと美味しさが加われば、ホッと和やかな空気が漂い、味付けに一役買うのではないかと思う次第です。 もしこのような場から日々の生活の仕方、暮らし方に風を吹かすことができれば、それが鎌倉からの風になっていければ素晴らしいとは思います。日々を暮らす人たちの普遍なるものへの思いがつながって次代の子どもたちによい社会をつないでいくことができれば、とはるか彼方を思いやれば、そのようなことも考えたりしています。それはともかくひとまず小さな活動として、増田様のような長老の方や若い方が相集い、この人生に関わる様々なことを自由に話す場として続けられればよいと思います。

勝手なことを書き連ねてしまいました。またお話しする機会があれば幸甚に存じます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

かまくら茶論 八原忠彦

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