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往復書簡(48) 鎌倉智士さんから石倉正英さんへ

テーマ:鎌倉の未来のこどもたちへ

石倉正英さま

   

一昨年の路地フェスの打ち上げではじめてお会いしてから、トントン拍子でコラボ企画を実現したのがいまでは懐かしいです。考えてみれば初対面からわずか3カ月後には一緒に舞台に立っていたわけですね。2014年9月につづき12月にもご一緒させていただき、去年の2015年5月の路地フェスでは西御門サローネでまたご一緒させていただきました。出会ってからの丸1年で3回もコラボさせていただけたこと、とても光栄です。コラボ企画といっても、実際には大先輩の紅月劇団に肩を貸していただいただけですので、これから少しでも恩を返していけたらと思っています。

 

さて、テーマですが、「鎌倉の未来のこどもたちへ」と題させていただきました。このテーマを次につなげていただければ倖いです。

 

そもそも私たち鎌倉もののふが活動している趣旨は「鎌倉にねむるすべての御霊への鎮魂」と「地域振興」です。その趣旨のなかで「未来のこどもたちへ何を語り継いでいけるのか」というのはとても重要なテーマです。そんなこともあって、鎌倉時代のお芝居を一緒にしていただけないかと声をかけさせていただいたのが最初でしたし、舞台(お芝居)には多くのこどもたちも立たせていただきました。本当に感謝です。

現在私たちは鎌倉時代の装いや食事を体験できる場や、鎌倉武士と一緒に鎌倉の史跡をめぐるなどの機会をつくっていますが、今後は絵本や紙芝居などでもこどもたちに「鎌倉の1つの歴史」を紡いでいけたらと思っています。またそんな試みのなかで無理のない範囲でまたコラボしていただけたら嬉しいです。

 

出会って丸2年、今年2016年5月22日には4回目のコラボが実現します。いまからとても楽しみです。

鎌倉 智士

                                   

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鎌倉もののふ隊 隊将 鎌倉智士(かまくらさとし)

鎌倉殿

 

嬉しいお手紙をありがとうございます。

 

出会ってからまだ2年足らず? ご冗談を! と言いたいくらいに旧知の仲のような気がいたします。加えて、その年齢からはオドロキの貫禄。いや、武士とは本来そうあらねばならないのでしょうね。ともあれ、僕にとって鎌倉さんは、色々な意味で「盟友」と呼ぶのがぴったりの存在であります。

 

子供といえば、まだ小学校に上がらないうちから、僕の芝居を観てくれているお子さんがいます。去年めでたく中学生になりましたが、彼女のものを見る目、理解力たるや、そんじょそこらの大人顔負けです。それは、持って生まれたセンスもさることながら、僕らの芝居だけでなく、親御さんが、色々な大人向けのアートやパフォーマンスを見せたり、体験させてきたことが大きいのではないかと思います。彼女を見て思うのは、子供に見せるからといって、子供騙しではダメ、妥協なく真剣に作らなくてはいけない、すなわち、本物を観せなければいけない、ということ。これは、僕よりもずっと多くの子供に接してこられた鎌倉さんの方が、より痛切に感じられていることかと思います。

 

僕には目下のところ子供がおりません。自分の子供を育てていないだけに、僕は自分の作品の副作用として、多くの子供達に、TVやインターネットでは味わうことのできない面白い価値観や刺激を与えられたら、とも思っています。

 

しかし舞台では、意図を持った演技にはどうしても役者のエゴが現れてしまうもので、そうならないためには演技から意図を消し去るしかない。その方がお客さんの心には響くものなのです。ここが実に難しいところなのですが・・。同じように、ひとまずお節介な意図は忘れて、妥協のない本物の作品を作り続けることで、思いもよらぬ大きなメッセージが子供達の心に響いていくんじゃないか、そんな気がしてならないのです。

 

鎌倉さんのご活動も、甲冑の製作にしろ、歴史に対する造詣にしろ、あらゆるところに妥協なく取り組まれている。いわば「本物」です。そして、それ自体が歴史を切り口として、様々なものを包含した、有益なメッセージとなって必ずや子供達の心に響いていくだろうと思うのです。

 

今年も5月22日の「鎌人いち場」に始まり、10月には我が紅月劇団の20周年記念公演にも、鎌倉もののふ隊としてご出演いただけるとのこと、とても楽しみにしています。きっとこのコラボは今後も末長く続いていくことでしょう!

2016年春 紅月劇団 石倉正英

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【石倉正英】

洋館や古民家、海辺のカフェなど、非劇場的空間を活かした個性的な 作品を創作する紅月劇団主宰。 脚本・演出・役者。語りや朗読パフォーマンスなど、ソロでも活躍中。

http://r-lune.jp  Facebook / twitter : 紅月劇団

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