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シェイクスピア!

このたび、おかげさまで20周年記念公演の第三弾「テンペスト」が盛況のうちに無事幕を閉じることができました。ご来場いただいたみなさん、応援いただいたみなさんに心より御礼申し上げます。

「テンペスト」はウィリアム・シェイクスピアの最晩年の作品で、日本では「あらし」と訳される傑作スペクタクルです。娘とともにたった二人、地中海の孤島に追いやられたミラノ公国の王・プロスペローが、たまたま島の近くを通りかかった敵どもを、魔法の力で嵐を起こし、復讐するも、最後には「許し」を与え全員と和解する、というお話。 世界では宗教や主義の違いに端を発した報復の連鎖が今現在も続いていると言えますが、すでに17世紀において、シェイクスピアは「許し」と「和解」こそが憎しみを終わらせる唯一の方法と説いています。

私としては久々、他の作家が書いた作品、それもかのシェイクスピア御大の作品を取り上げるということで、色々な発見や刺激がありました。 思い起こせば、当初は、某お寺の境内での野外公演を考えていたので、舞台は鎌倉、復讐劇ということで比企一族のエピソードを絡めて完全に書き直すつもりでいたのですが、色々な事情や偶然の導きにより、北鎌倉のツドイという屋内空間を舞台にすることになり、その空間のインスピレーションから、ふと、シェイクスピアの言葉をそのまま使ってみようという意識に変化していきました。

ということで、今回はシェイクスピアのセリフ一つ一つと実に真正面から向き合うことになったのですが、そういう目で見てみると、彼の脚本を書く上での苦労を目の当たりにした気がしました。この説明的なセリフを言わせるためにわざわざこんな聞き方をさせているのだな、とか、構成上の苦労などなど。実にホッとしたというか、いかにシェイクスピアといっても同じ悩みをかかえ、苦労して書いていたことが分かっただけでも、私にとっては大きな収穫。笑

それと普段「心情は言葉にしない、行間に押し込める」ということを肝に銘じている私にとってみると、心の中をそのまま発語する西洋演劇の典型的なセリフの数々は、鬱陶しいったらありゃしない! そこは日本の鎌倉で、それも我々紅月劇団がやるのだから、という強い意志の元、徹底的に重要な?セリフを削って行間に押し込めていくという作業は、何とも胸のすく作業でありました。

2016年秋 紅月劇団主宰 石倉正英


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