たねのなか 〜3〜
*カジュに集う皆様、こんにちは。夏が過ぎ、気がつけばもう11月の声。信じられないはやさです。
やっぱり、四季がくっきりとしているというのは、人生が加速するような気がします。
*いきなりですが、みなさんは、「金持ち父さん 貧乏父さん」という、かつてのベストセラーをご存知でしょうか。私は、タイトルだけは知っているけど、実際に読んだことはないのですが、その著者が、最近こんなことを言っていたそうです。
「失敗を恐れるな。失敗することでのみ、人は学べる。日本の教育は、「失敗するな」の教育。だから成長しない。」
「失敗するな」の教育・・。彼は、「日本はかつて失敗したら「ハラキリ」だったから仕方ないけど」、とも言っていたそうです。彼の言うとおり、ハラキリのせい?日本人の特長?なのでしょうか。
*確かに、糸紡ぎのWSをやらせてもらうと、なぜだか皆さん一様に、「キレイな糸」「均一な糸」を目標にされるなとは、感じていました。スピンドルというこまは、コツがあり、少しづつ身体で覚えていくので、手が慣れていない初めは、ぼこぼこの不均一な糸になります。でも、それは、その人にしか紡げない糸で、蚕のように、その人の身体を通って出てくる、唯一無二の糸なんです。そして、力が抜けると、自然と羊毛がなりたいようになって、愛おしさのあふれる、すばらしい糸になります。それができちゃったら、編んでも、織っても、そのまま置いておいても、いいのです!糸に力があるのです。買うことのできない、時間と空間を封じ込めた糸なのです。失敗なんてありえない、「みんな違ってみんないい」糸。
*私も、普段は失敗は嫌いですし、怖いです。でも、こと糸紡ぎに関しては、誰にも習わなかったせいか、失敗という概念はなかったような気がします。人と比べようがなかったのも、よかったのかもしれません。ただただ、ふわふわもこもこが、毛糸になって行くさまがおもしろすぎた。あれから10年。今でもそれは同じです。
*そんな感じで、正しいも失敗もない中で、ただ純粋に何かを楽しめると、ふだんの「失敗してはいけない」が、少しゆるむのかもしれません。失敗上等。まだまだ、そう思えない部分もありますが、失敗を恐れている自分、失敗して後悔してる自分を見つけたら、大丈夫だよ、学べたよ、と言ってあげたいと思います。
2017年・秋
向井 吏恵(つむぎ)
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