午前2時に目が覚める謎
夜中に目が覚めたら午前2時だったということがよくありませんか?
子供の頃、怖い映画を見た夜などは、何か出てくるんじゃないかとビクビクし、やっと寝ついたかと思うと夜中に決まって目が覚める。時計を見ると十中八九午前2時・・・。大人になってからも、初めて泊まる安ホテルなどで、壁に大きなシミなどあると、妙な想像が膨らんで心落ち着かず、寝たかと思うと目が覚める。時計を見るとやっぱり2時! 「草木も眠る丑三つ時」とは怪談の常套句ですが、これはまさに午前2時から2時半頃のことを言う。
なぜこんな怖い時間帯に決まって目が覚めるのか・・・。でも、別に何かに怯えていなくてもなぜか午前2時に目が覚めることが多い気がします。
その答えらしきものを最近SNSで見つけました。いわく、古来日本人は夜中2時ごろに一旦起きる慣習があった。これを「あわい」という、と。午前2時に起きると、少し食事を取ったり、仕事をしたりしてまた眠りについた、これが夜鍋仕事の由来なのだ、と。目から鱗・・・。SNSなのでことの真偽は定かではありませんが・・・。
するとそれから間も無くして、「歩くという哲学」(フレデリック・グロ著)という本を読んでいたらそこにも、山小屋が遠く野宿をすることになると夜半2時ごろに目が覚めるとあり、スティーブンソンも「旅は驢馬を連れて」という作品でこの覚醒現象について触れているとあった。どうやら午前2時に目覚めるのは日本人に限った話ではないらしい!
ちょっと横道に逸れますが、このスティーブンソンの「旅は驢馬を連れて」という作品は、僕の大好きな「二冊の本」という辻原登さんのエッセイにも出てきて、とても興味を持ち、当時探したのですがとうとう手に入らなかった本。それがここでも登場したので、これは何がなんでも読めということだな、と今時の検索技術を駆使して探してみたら、なんとその辻原登さんが編集したスティーブンソンの作品集に「驢馬との旅」という作品が収録されているではありませんか。タイトル変えないでよ!と憤りつつも、ようやく読む機会を得たのでした。
「旅は驢馬を連れて」は「ジキル博士とハイド氏」などで有名なスコットランド人の作家スティーブンソンがフランスの田舎を驢馬を連れて旅をするドキュメントなのですが、これが実に面白い。そして、ありました、午前2時のくだりが!
「これらの眠れるものたちがおしなべてこの同じ時間に“よみがえる”のは、耳には聞こえないどんな呼び声に応じてなのか、<自然>のたおやかな手にどのように触れられてなのか。星々がなんらかの力を雨と降らすのか、あるいは母なる大地の身震いを我々が眠れる身体の下に感じ取るのか・・・」
そうか! つまり僕らが何かに怯えて眠りにつくとき、人間本来の防御本能として五感が鋭くなり宇宙と繋がってこの「耳には聞こえない呼び声」のようなものを聞き目が覚めるのだ!
これまでは午前2時に目が覚めると、ビクビクしたり早く寝なきゃ寝なきゃと焦って逆に眠れなくなったりしていたのですが、この覚醒現象の神秘を知った今、僕はこの午前2時の目覚めを少し楽しめるようになった気がしています。
待てよ、逆に考えると、草木も眠る丑三つ時によく幽霊が出るのは、人がそんな敏感な状態で目が覚めるから? この時間帯なら認識してもらえるぞ、と? 幽霊にも承認欲求があるのかもしれませんね。
カジュ通信 2026年夏号 紅月劇団 石倉正英
| コメント (0)









行間は踊る、されど進まず
