くすりすく Vol.19
2010年カジュ通信 夏号より
「くすり」と「りすく」はうらがえしの関係です。
正しく使わないと「くすり」は、身体「りすく」になりかねないものです。
薬に関することを「つれづれなるままに」書いてみたいと思います。
リクエストなどありましたら、是非ご連絡ください。
by 高梨 真光
半夏(ハンゲ)について
今回は夏の号なので、「夏」の字が付く生薬の話をしてみましょう。その代表的なものが、「半夏(ハンゲ)」ではないかと思います。サトイモ科の植物で、植物名は「カラスビシャク」といいます。どちらかというと、栽培する植物、というよりは山野に自生していることが多いように思われますので、鎌倉のどこかにも生えているかもしれませんね。
サトイモ科の植物の特徴として、花の形があげられます。実はミズバショウやカラーもサトイモ科の植物なのですが、1本の棒状の花を包むようなものがありますね。あれを「仏炎包(ぶつえんほう)」といいます。仏像の光背の様に見えるからでしょう。ですから、ミズバショウの様な形の花が咲いていれば、たいていサトイモ科の植物だと言えると思います。観葉植物でも目にしますよね。ただ、カラスビシャクの花は緑色をしています。
また、半夏生(ハンゲショウ)という植物もありますが、これは名前は似ていますが、全く異なるドクダミ科の植物です。
ハンゲはカラスビシャクの根の部分の球根のような部分(塊茎)をいいます。もちろん日本薬局方にも収載されている医薬品ですが、漢方薬として使われることがほとんどです。ハンゲには鎮吐作用があるので、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)などに配合されます。またサポニンを含んでいるため、痰の出を良くする作用もあるようです。最近、気管支や肺の部分ではなく、首のあたりがつっかえた感じで咳が出る、という方を良く耳にします。一般の咳止めは気管支に作用する薬が主なので、このようなタイプの咳にはあまり効果がありません。そこで、このハンゲが配合された、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)をおすすめすることが多いです。
その他にもハンゲは多くの漢方薬に配合されている重要な生薬の一つと言うことができます。
大倉薬局
鎌倉市雪ノ下3−8−32
℡/fax : 0467−22−0394
e-mail
| コメント (0)