2026/05/28

イワタバコ・恋の恨みと魔法の根岸色

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【学名】  Conandron ramondioides Siebold et Zucc.
【別名】  山萵苣(やまちしゃ/やまちさ/やまぢしゃ)、山菜(やまな)、
       滝萵苣(たきぢしゃ)、ミズタバコ、マツガネソウ
【生薬名】 クキョタイ(苦苣苔)
【 科 】   イワタバコ科 

 

日本の本州(福島以南)から沖縄、および台湾の山地の谷間の湿った岩壁に生える多年草。

学名のConandron(コナンドロン)は、ギリシャ語のconos(円錐形の)+andros(おしべ)」が語源。おしべが集まって円錐形の形になっている様子を表しているそうです。

和名は、葉がタバコの葉に似ていることから。(タバコはナス科の別の植物)

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たしかに似ていますね。

ですが、イワタバコの名が一般的になるのは明治以降で、それまでは、山萵苣(やまぢしゃ)、滝萵苣(たきぢきしゃ)の名が長く使われていました。

万葉集にも、柿本人麿の詠んだ歌が残っています。

山萵苣の
白露重み
うらぶれて
心も深く
我が恋やまず

訳  :  山ぢさが露の重みでうなだれるように、私の心も恋に沈み、思いがやまない。

この山萵苣はエゴノキなど、他の植物を指すという説もあって、イワタバコとは限らないそうです。が、身にそぐわない大きな葉をつけて、岩清水滴る崖にがんばってへばりついているイワタバコを見るに、人麻呂さんの、このジメぇっとした恋心がなんか透けて見えるような気がするんですよねぇ。
なので、私はイワタバコ説に一票。

報国寺の谷戸の奥にお住いの造形作家のご夫妻から「イワタバコは染めたことがありますか?」とご連絡をいただきました。公道沿いの崖にあるイワタバコはさすがに採る訳にはいかないので、今まで染める機会がありませんでした。
ですが今回、ご夫妻のお家の裏の崖がイワタバコの葉に覆われていると伺い、ついに試染に足りる量を得ることができました。

「この崖はコンクリートで護崖工事されることが決まっていて、採れるのはあと2,3年です」とのこと。

自然災害に強い街づくりは大切な政策ですが、このような貴重な野草が失われるのは残念なことです。うまく両立する道を探っていきたいものです。実際、イワタバコは土壌の薄い岩場に好んで生えるため根が生育しにくく、繁殖力が弱い植物。ただでさえ絶滅しやすいのです。

このイワタバコの花が咲くのはちょうど今。
この初夏に鎌倉を訪れるハイカーにとって「イワタバコの花を見に行く」のは大事な楽しみのようです。
たしかに、ゴツゴツした岩場に白や紫の花をつけるイワタバコは、絵本の題材になりそうな想像力を掻き立てる風情があります。
冒険者が魔法の薬草を命がけで取りに行く、みたいなお話ででてくる薬草の姿形は、このイワタバコがぴったりですよ。

実際、薬効も高いようです。
生薬名はクキョタイ(苦苣苔)。
日干し乾燥した葉は、食べすぎ、飲みすぎ、胃もたれ、食欲不振、消化促進などに、葉を煎じて服用するとよいそうです。
生の葉は山菜として古くから親しまれていて、少し苦味があり、この苦味が独特の風味として、天ぷら、軽く塩茹でして和えもので楽しめます。

いただいた葉っぱを煮出してみると薄黄色い液になりました。媒染前はうっすらクリーム色になったぐらいでしたが、秘めた魔法は媒染後に現れた!
アルミで淡黄色(たんこうしょく)、鉄で銀鼠(ぎんねず)鉛色 (なまりいろ)
そして銅ででた根岸色(ねぎしいろ)が特筆すべき美色。


花言葉は「涼しげ」「愛らしい心」「忍耐」。
7/6の誕生花。 晩夏の季語。


◎参考サイト /文献

https://www.hana300.com/
https://ja.wikipedia.org/wiki/イワタバコ
http://www.e-yakusou.com
https://greensnap.jp

・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館

協力: 松永聖士さん・ゆみさん

 

(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房  禁転載

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2026/04/24

モウソウチク・千々に乱れて紅梅色

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【学名】Phyllostachys edulis (Carrière) Houz. Phyllostachys heterocycla
【英名】Moso bamboo
【別名】江南竹、ワセ竹
【生薬名】※竹茹(ちくじょ)=ハチク、マダケの稈(茎)の内皮 
【科】   イネ科 

 

竹の多くは中国産で、世界には600種類あるといわれているそうです。

日本に渡来したのは、留学僧が唐から持ち帰った、あるいは宋から持ち帰ったなど説が定まらないようですが、全国的に広まったのは江戸時代中期、薩摩藩が琉球王国経由で輸入したことがはじまりだそうです。

ん?

ということは、かぐや姫の絵本で、大きな竹からぱっかーんと生まれるお姫さんの図は間違いなのですね。その頃の日本の竹はマダケが主流ですから、かなりのマイクロベイビーだったんですね。

現在の北限は函館で、以南に全国的に自生しています。

1970年代からは、食用の筍が安い輸入ものに市場を奪われたことから、竹林が荒れ、深刻な里山荒廃の原因となっています。

モウソウチクは「孟宗竹」と綴ります。
孟宗は、中国の三国時代(3世紀)に呉に実在した官吏です。
筍の好きな母親のために冬に筍を探しますが、見つからず涙したところ、その涙が落ちたところに筍が生え、母親に食べさせることができたという逸話が名の由来。
この話は孝行譚として中国の「二十四孝」にも数えられているそうです。

材は建築や農漁業用資材として利用されていましたが、弾力性に欠けるので、かごなどの「編む」「組む」には向きません。
皮は防腐効果があり、昔は食べるものを包むのに用いられていました。

肉厚で大きいことから、竹炭作りに向いています。
竹炭は、有害化学物質を吸収する作用があるとされ、川の浄化などに応用されているのは周知ですね。
その過程で出る竹酢液は、竹のエキスといわれ、殺菌、止痒、消臭、抗酸化性の作用があります。

数ある筍の中でもハチクに次いで美味とされるのがモウソウチクの筍といわれ、ビタミンCやビタミンB2などを含有、豊富な食物繊維で、便秘の予防、カリウムも多量に含有しており、体内の塩分を排出するので、むくみや高血圧の予防にも効果あり。
葉を乾燥させたものをお茶として飲めば、利尿に効果。

さてさて、今年も二階堂の谷戸の奥、レインボーステイのマダムMからプリップリの筍をいただきました。筍ごはん、煮物、グリーンカレー・・・と心ゆくまで楽しみました!

そして、今年はとれたての筍とともにマダムMからお題をいただきました。
筍の皮を使った染めものをしてみてほしいと。

前から噂で、「あお」が染まるとか、「ピンク」が染まるなどと耳にしていまして、何度かやってみたのですが、うーん、利休鼠みたいな色にはなったけど・・・染め方に工夫がいるのかしら?と思っていたところでした。

よし、腰を据えて実験だ!

マダムMにもいろいろアドバイスをいただきまして、皮の、色の黒々と濃い部分を選んで煮出してみることに。半分は普通の水。半分は酢酸を入れた酸性の水で煮出しました。

結果、酸性水抽出の液で、すず媒染した絹が美しい紅梅色(こうばいいろ)に、鉄媒染した綿がびっくりの紺鼠 (こんねずいろ)に!! ひゃーっ!
久しぶりにわくわくしました。

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ただ、ウールにはどの媒染でもほとんど色がつきませんでした。

あまり熱を加えないで染めた方がいいようです。普通の水でつくった液は、時間が経つと色が薄墨色から赤黒く変化したり、なんだか、不安定要素が多い印象です。ユラユラ揺れる春の心を映したよう。
堅牢度については、要経過観察ですね。

花言葉は、「節度」「節操のある」「忠誠」「不動」など。1/2の誕生花。

 


◎参考サイト / 文献

https://www.rinya.maff.go.jp/
https://www.nies.go.jp/index.html
http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
http://www.e-yakusou.com/
https://ja.wikipedia.org/wiki/モウソウチク
http://www.hana300.com/
https://hananokotoba.com/


・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館 

 

(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房  禁転載

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2026/04/05

国家存亡の危機

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お役人さま


世の中は、

「こくご」
「さんすう」
「りか」
「しゃかい」

だけで出来ているわけではありません。


サラリーマン世帯の生活モデルが、全ての人に当てはまるわけではありません。


これからも「モノつくり日本」をかかげるなら、

モノつくりの現場を支える「材料」や「道具」を作る人たちに、

心からの敬意と、
溢れる愛をもって、
手厚い助成を、

今すぐお願いします。


そして、あらゆる分野の材料、道具を作られている方々、

立ち上がってください。

現場に相談してください。
AIでもなんでも、使えるものは全部味方にして、生き残ってください。


糸が手に入らなくて困っている
染織家より。

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2026/04/01

亀の尾、来たる。

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今朝、仕事場のポストをのぞいたら、秦野在住のめぐむさん(糸へん手仕事仲間)からの荷物が届いていました。
開けてびっくり!!

おお、伝説のお米「亀の尾」!!

めぐむさんは、畑も田んぼもなさっていて、先日、展覧会にお立ち寄りいただいたときに、その興味深い野良仕事の様子をいろいろ伺うことができました。

田んぼの水をキープするためには、細かい泥で土の隙間を埋める作業「代かき」が欠かせない。めぐむさんは古い木のはしごにロープをつけて自家製の道具でなさっている(写真)、、とか。

お米の味は「水の味」できまる、、、とか。

そして、明治時代に山形県で生まれた歴史ある在来品種で、コシヒカリやササニシキなどのルーツとなった幻の米、「亀の尾」を育てたお話、とか。

暮らしの全てが、かっくいい!
真似する若い人が増えるといいなぁ。
心して、美味しく炊いていただきたいと思います。

感謝にかえて。



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2026/03/16

教室の準備

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