2017/06/06

ササゲ・恥じらいははじめだけの薄黄色

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【学名】  Vigna catiang Endl. var. sinensis King  Vigna unguiculata
【英名】  Cowpea,  Black-eyed pea(白色ササゲ),  Asparagus bean
【別名】  大角豆(たいかくず=ささげ)、ミタビ、 ササンキ(アイヌ語)
【生薬名】  豇豆(とうず)
【科】   マメ科

中央アフリカ原産のものが、中国を経由して9世紀に渡来。
ツル性のものと、ツルのない直立するものがあります。

「大角豆」の字を当てるのは、豆の端が少し角ばっていることから。
「ササゲ」という名前の由来については、細いサヤを小さな牙に見立てて「細々牙」とした、あるいは、若いサヤが、物を「捧(ささげ)る」かのように上を向いているから、など諸説。

欧米では、食用ではなく、主に土壌改良のために栽培されていて、英語名cowpeaは恐らくここからきているのでしょう。

日本で生産されている豆はほとんどが赤色ですが、輸入豆には「ブラックアイ」と呼ばれる白色で臍の周辺部分だけ黒いものや、褐色、黒色のものもあります。(沖縄で作られている「黒小豆」は、実は黒色のささげ。)

関東では、赤飯にはアズキの代わりにササゲを用いることが多いです。これは、アズキが、煮たときに皮が破れやすいため、「腹切れ」→「切腹」という連想を生み、武家の間で嫌われて、煮ても皮が破れないササゲの方を用いるようになったからだそうです。

和漢三才図会には「腎を補い、胃を健やかにし、営・衛(いずれも東洋医学独特の考えによる、脾・胃で消化された栄養物質)を整え、頻尿や下痢をとめる」とあります。また「汁に煮て飲むと、鼠莾(そぼう=ハシリドコロ Scopolia japonica Maxim.強力な毒草)の毒を解する」とも。

一昨年、裏庭の畑に植えて、ひと夏、たくさんの豆を楽しみました。はじめのうち、モノを捧げているような健気な姿の豆も、次第に下を向き、それはそれは堂々と、ふてぶてしく、長々とぶら下がります。こう言っては何ですが、恥じらう乙女が月日を重ねて、押しも押されぬ無敵のおバタリアンになっていく様を見るようでございます。ちなみに豆の味はバツグン。

その、畑に植えた「つるありささげ」を、収穫後に全草を煮出してみました。マメ科独特の甘い香り。アルミで明るい黄色、銅で明るい草色(ウールは翡翠色)、鉄で海松(みる)色、麹塵色。 花言葉は、「恥じらい」。 花は晩夏の季語、実で秋の季語。

参考サイト / 文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/ササゲ
http://www.mame.or.jp
http://gkzplant2.ec-net.jp
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「和漢三才図絵」寺島良安 / 著 第104巻
・「薬草図鑑」伊沢凡人・会田民雄/著 家の光協会
・「和漢薬」赤松 金芳 / 著医歯薬出版株式会社

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2017/06/04

トウモロコシ・世界のキーワードは蒸栗色

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【学名】  Zea mays L.
【英名】  Corn, Maize
【別名】  トウキビ、コウライキビ、サツマキビ、ナンバン
【生薬名】 玉蜀黍(ぎょくしょくしょ)
      南蛮毛(なんばんもう=ヒゲ)
      玉蜀桼蕊(ぎょくしょくきずい=ヒゲ)
【科】    イネ科 

世界三大穀物(小麦、米、トウモロコシ)のひとつ。熱帯アメリカ原産。コロンブスがアメリカ大陸を発見した際、カリブ人が栽培していたトウモロコシを持ち帰ったことでヨーロッパに伝わりました。
日本には1579年にポルトガルから長崎にもたらされました。

トウモロコシの粒の数は、1本に約600~700個あるそうです。また、ヒゲの数は粒の数と一致するそうですよ。

トウモロコシのヒゲは古くから知られた漢方薬で、利尿、腎機能の改善、むくみ、黄疸、肝炎、胆のう炎、胆血石、糖尿病の改善などで、薬理試験でもすぐれた利尿作用、血圧降下、末梢血管拡張作用が確認されています。また毛を発酵させたものには、顕著な血糖降下作用が認められています。

トウモロコシ油(トウモロコシの胚芽からとった油)は、リノール酸が約60%含まれ血圧降下、高血圧の予防や軟膏の基剤、注射薬の溶剤に使用されています。

和漢三才図会にも「古(むかし)は我が国にはなかった。蛮船が持ってきた。顆々(つぶつぶ)がむらがりあつまり、(中略)黃白色で焼き炒って食べる。白い花の形にはぜさけて、はぜたもち米の状(さま)に似ている」と 、ポップコーンのように食べていた様子が書かれています。また、根や葉を煎じて服用し尿路結石を治すという記述も見当たります。

19世紀半ば、肉質の硬かったロングホーンに代わって、肉質の柔らかいアンガスという肉牛が普及しました。
しかし、その肉質を柔らかくするには、それまで牛の餌だった「草」に代わって、トウモロコシやダイズなどの「穀類」を大量に与えなければならないのだそうです。

1997年のデータですが、その年生産されたトウモロコシは6億トン。そのうちのなんと4億トンが家畜飼料になっていました。(今は生産量、飼料ともにもっと多いことでしょう)
当時の世界人口はおよそ58億(2015年現在で73億強!!)、そのうち8億が飢えで苦しんでいると言われていました。もし、家畜に回されているトウモロコシのわずか10%を食用に回すことができれば、この飢えの問題を解決できたそうです。

飼料だけでなく、トウモロコシはバイオ燃料の原料にも使われていて、飼料問題と合わせて、早急な代替え案が必要だと思います。食べられない人がいるのに、柔らかい牛肉でもないもんだ。

肉、硬くもいいぢゃないですかねぇ。日本には様々な「発酵の知恵」があるのです。いくらだってお肉を柔らかくする調理法はありますわ。

裏庭の畑に飢えた4株のトウモロコシ。収穫が終わった茎葉を煮出してみました。アルミで蒸栗色(むしぐりいろ)、銅で根岸色(ねぎしいろ)や鶯色、鉄で利休鼠

花言葉は、「洗練」「デリカシー」「財宝」「豊富」「同意」。
8月4日、8月7日の誕生花。

参考サイト / 文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/トウモロコシ
http://www.hana300.com/
http://www.hanakotoba.name/
http://www.language-of-flowers.com/
http://www.e-yakusou.com/
・NHKスペシャル 世紀を越えて  豊かさの限界  第1集 「一頭の牛が食卓を変えた」
・「和漢三才図絵」/寺島良安 第103巻
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「和漢薬」赤松 金芳 / 著医歯薬出版株式会社

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シラン・アジアンビューティーな草色

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【学名】  Bletilla striata Rchb.fil
【英名】  Hyacinth orchid
【別名】  ベニラン、ケイラン
【生薬名】  白及(びゃくきゅう)
【科】      ラン科

学名の「striata 」はラテン語で 「縞模様」の意味。葉に筋が立っている様子からでしょうか。「Bletilla」(ブレティラ)は、スペインの薬剤師の名前から。

ラン科の多年草。観賞用に栽培されてきましたが、関東以西には自生もみられます。ただし、近年では自生種は近年危惧種となっています。
春から葉が出始め、茎が立ち、初夏に東洋蘭独特の可憐な赤紫色の花をつけます。香りはあまりないですね。栽培種には白や黄色の花をつけるものもあるそうです。地下には少し偏平な形をした仮鱗茎があって、1年ごとに1球づつ増えていきます。 ちょっと油断していると、自宅の庭で、しずかーに勢力を広げています。

鱗茎(りんけい・白きゅう)を8~11月頃に掘り採り、茎、ひげ根を除き、水洗いした後、蒸して(または熱湯をかける)から外皮をはいで、天日で乾燥させたものを生薬で白芨(びゃくきゅう)と呼びます。噛むとやや苦い味がするんだそうです。
粘液質が多く皮膚や粘膜を保護する作用があり、保護により痛みを止めたり、腫れを治したりします。また、内外出血にも止血作用があり、喀血、止血、鼻血、胃、腸の穿孔にも用いられるそうです。外用には、火傷には粉末を油、あかぎれには水で練って塗るとよいとか。おお、領土拡大勢力を少し抑える意味でも、試しにちょっと根を掘ってみますか!

これみよがしな派手さはないものの、東洋蘭のきりりとした美しい容姿に、隠れた高い効能・・・このアジア美人、なかなかやりおる。

花盛りのときに全草を採取して煮出してみました。特筆すべきはアルミ媒染のウールの鮮やかな黄色。銅媒染で草色、鉄で柔らかな柳茶木蘭色

花言葉は、「あなたを忘れない」「お互い忘れないように」「美しい姿」「変わらぬ愛」「薄れゆく愛」。
夏の季語。 5月6日の誕生花。 

参考サイト / 文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/シラン
http://www.e-yakusou.com/
http://www.hana300.com/
http://www.hanakotoba.name/
https://lovegreen.net/languageofflower
・「和漢三才図絵」/寺島良安 第93巻
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房

(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

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2017/06/03

コデマリ・ラインダンスは璃寛茶(りかんちゃ)

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【学名】  Spiraea cantoniensis Lour.
【英名】  Reeves spirea
【別名】  スズカケ、シツカケ 
【科】     バラ科

学名の「Spiraea」は 「 シモツケ属」、ギリシャ語で螺旋」「輪」を意味するそうです。「cantoniensis」は「中国広東地方の」の意味で、その名の通り、中国原産の帰化植物です。

別名の「スズカケ」は、花が連なるようにつながっている様子から。あ、これが「スズカケノキ」になると、プラタナスですね。こちらは実が鈴なりに成るから・・・かな?

江戸時代からは、観賞用に栽培されるようになりました。弓なりにしなる枝ぶりの美しさから、生け花の花材としても人気です。

鎌倉界隈では、桜の開花のころ、枝にその名のごとく、小さな手毬のように白い花が枝いっぱいつきます。美しい眉のようにしなった枝は、まるで、SKDのラインダンス! 可憐です。あくまで可憐です。

花盛りのときに全草を採取して煮出してみました。とても濃い液となり、どの媒染でも堅牢な色あい。アルミ色で芥子色山吹茶。銅で璃寛茶鶯茶、鉄で銅より一味青みの色を染め上げました。

花言葉は、「優雅」「品位」「友情」。春の季語。 4月24日の誕生花。

参考サイト / 文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/コデマリ
http://www.hana300.com/
http://www.hanakotoba.name/
http://www.weblio.jp/cat/dictionary/nkgmj
https://lovegreen.net/languageofflower
・「和漢三才図絵」/寺島良安 第84巻
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房

(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

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2017/05/06

ヤブニンジン・気満ち満ちたる若草色

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【学名】  Osmorhiza aristata
      Osmorhiza aristata Rydb. var. montana Makino
      (ミヤマヤブニンジン)
【英名】  sweet chervil
【別名】  ナガジラミ(長虱) ササハソラシ
【生薬名】   藳本(こうほん)
【科】     セリ科

学名のOsmorhizaは、ギリシャ語の「osme(香気)+ rhiza(根)」が語源。
日本、朝鮮、ロシア、中国に分布。

和名は、葉がニンジンに似ていることから。実際、自宅の裏庭に見つけたときは、ほんとうにニンジンが生えてきたのかとぬか喜びしてしまったほど、葉っぱがニンジンに似ています。5,6月に白い小花をつけます。花には両性花と雄花があって、花の後、線香花火のように広がって実を結びます。
鎌倉では、同じ仲間のヤブジラミ、セントウソウ、セリとともに、湿気の多いところによく自生しているのが見られます。

若い葉はおひたし、天ぷらなどで食べられますが、花が咲く前だと、毒草のケマンソウが葉がよく似ているので、採取には注意が必要です。

春の開花時期に根茎を掘って、水洗いして陰干しにして乾燥させたものを、生薬名で藳本(こうほん)と呼びます。腰痛、腹痛、頭痛などの鎮痛には、1日量5~10グラム、水0.4リットルを半量まで煎じて毎食後3回に分けて服用するとよいそうです。

「和漢三才図会」には「藳本」の名で根を薬として使う記述があり、「昇る太陽(の気)。足の太陽経の風薬である。気は雄壮。寒気が太陽経に鬱積して頭痛のするときには必用の薬である。頭頂部痛はこれでないと頭痛を除くことができない。」とあります。頭痛については絶大な信頼を得た薬のようですね。頭痛持ちの私、早速、根を採取して干しました! じっくり自分で生体実験します。

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そういえば、去年のお正月にマージナルキッチンにご飯を食べに行った時、佐藤裕加さんが本格的な秋田スタイルのきりたんぽをごちそうしてくれて、「秋田ではセリを必ず根っこをつけて入れるんですよ。」と教えてくれましたっけ。

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セリ科の植物の根には、何か特別なものがあることを、昔の人は経験で知っていたのですね。

「和漢三才図会」には根は紫とありましたが、採取したものはみな白かったですね。もう少しあとになったら紫がかるのかな?

花が咲き始めた全草を採取して煮出したところ、たいへん強い黄緑色の液となり、アルミで強い若草色、銅で透明感のあるウグイス色、鉄で、海松色から仙斎茶。(ニンジンの葉の染色結果に似る。)
どれも初夏の瑞々しい気の満ちた強い色合いで、見ているだけで元気が出てきます。

花言葉は「喜び」。2/9の誕生花。

参考サイト / 文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/ ヤブニンジン
http://www.e-yakusou.com/
http://chills-lab.com/flower/
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「和漢三才図絵」寺島良安 / 著 第93巻
・「季節の野草・山草図鑑」高村忠彦/監修  日本文芸社

 

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