帯一(オビ・ワン)
去年の今頃からその年の冬にかけて、4本の半幅帯・一本の名古屋帯を織りました。
半幅のうちの2本は、8寸に織って、半分に畳んで使うタイプ、もう2本は写真の4寸幅のものです。
経糸は絹、麻、木綿などの経縞(たてじま)整経で、そこに 生皮苧(きびそ)とよばれるナマの絹糸を緯に3本引き揃えでいれました。
絹糸は、光沢のあるしなやかなものの代名詞のように思われていますが、精練する前のナマ糸は、麻のごとくゴワゴワでして、これがかなり 魅力的なんです。
中でもこの生皮苧は、あまりお高くとまっていない辛口の日本酒、
モーションかけても全然こっち向かない、ハンサムぢゃないんだけど どうにも気になる無口で骨太ないい男、といった風情の糸でございます。
いいんだなぁ、舌触りというか、触り心地が。(笑)
お蚕さんから糸をとる時は、さなぎの入ったままの繭をお湯で煮て(煮殺すんです)その表面をブラシでつついて糸口を見つけ、そこからスルスルと糸を引き出すのですが、そのときブラシについたクズを集めてつくったのが生皮苧糸なんです。
だから、お蚕さんが糸を吐き出しはじめた「若葉マーク」の質感。
精錬してゴワゴワ(セリシン)をとってしまうと、それはそれはふわふわな 糸になり、これはこれでとてもグーです。
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