糸へんの仕事
織り機を使うものだけが「織」ではないなぁ、と思うことがあります。織り機を使うと言うことは、それだけ窮屈な制約が多いということです。
一度経糸をセットしてしまったら、運命は半ば決まってしまう。人生で言えば、DNAが変えられないのと同じです。
ですから、その後の人生の出会いが「緯糸」とのコラボということになりますですね。
・・・とそんなにおおげさなことを考えて織っているわけではサラサラないんですけど、時々、「自由になりたーい」と海に向って叫びたくなる瞬間が皆さんにもあるように、織り機の制約から完全に解放されて糸と遊びたいと思うことがあります。
そんなときはフェルトをつくってみたり、編み物したり、ミシン刺繍なんかしてみたりします。
写真の作品は、海で拾ったガラスの小びんに極細の真鍮のワイヤーを巻き付けて、からめながら網にした作品です。
ワイヤーの網は、そのビンの形にあわせて勝手に「増殖」する感じで、自分の意志を自由に操って何かが作りたくて始めた作業のはずだったのに、気がついたら、素材に「動かされていた」という感じでした。
時間を忘れてはまれました。
作品のタイトルは「花音(かいん)」。花便りという意味です。
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