カシミアの謎
カシミア(cashmere)。
1000年ほど前からインド北部のカシミール地方に生息するヤギさんです。羊は山羊を含めて600種類いると言われていますが、その中でも特に小柄な部類です。
種類にもよりますが、一頭の羊からは約1〜3キロの毛がとれるのですが、このカシミアの内毛は、その中のたった200グラム程度で、しかも刈り取って、精錬や整毛をして紡げる状態になるころには、100グラムに満たない量になってしまいます。
羊毛には、その羊によって様々な特徴がありますが、総じて、艶のある繊維は重く、軽い繊維には艶がない場合が多いのです。
しかしカシミアの内毛は、羊毛・獣毛の中で、もっとも軽く、繊維が細いもののひとつでありながら、且つ、光沢があるのです。その内毛が「繊維の宝石」と呼ばれて太古の昔から珍重されている所以です。
もともと寒冷の高地を好み、湿気と暑さに弱く、飼育には技術を要するため、近年の温暖化と飼育者の後継者不足で、数が激減しています。
黒、茶色、白がいて、市場に出回る染色の出来る白が、実は特に少ないのです。
現在の生息地は、インド北部、中国、アフガン、モンゴル、ロシアの一部と言われていますが、いずれにしても、昨今、量販店で「カシミア100%」の表示のもとで、あれだけの量を、あれほどの安価でまかなえるほど、数がいるとは到底思えません・・・。
どんなからくりになっているのでせう???
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コメント
カシミア・・・あこがれの手触り。
あの気品ある滑らかさと暖かさは、他に無い感触ですよね。
私の知らない世界なので、興味深く読ませていただきました。
投稿: はる | 2007/11/20 17:07
はるさん、こんにちは。コメントありがとうございます。この冬は、あまり手に入らないカシミアの原毛を紡いでいます。メリノやダウンなど、手触りのよい羊毛はほかにもありますが、カシミアはやはり別格ですね。
内毛はコットン並みに毛足が短いので、紡ぎ手泣かせです・・・。
投稿: つる | 2007/11/20 17:45