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2008/01/20

2008/01/20

近々、かならず。

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なんだか調子がでないのを寒さのせいにして、自宅でこれを書いてます。

いつも思っていることですが、"アート"にくくられる職業につく人間の存在価値は、ほんとうに不安定で不確実なものです。とくに、今回はそのことを思い知りました。寂しい人や疲れている人に、ちょっとだけでも幸せな気持ちになってもらうことが私の唯一の存在意義だから、と続けていたことが、一番身近な苦しんでいる身内に届かなかったという無念は、この先ずっと私から消えることはないでしょう。息子がいなければ、とっくに何もかもやめにして、全部処分してまた旅に出ているところです。

去年の夏の終わりに旅スマイルというフリーペーパーの取材を受けました。近所に住む、木工家でこのペーパーの編集者のおひとり近藤豊さんが、カジュの活動に共感してくれて実現したものです。ありがたいことです。

取材に先立って、豊さんがいくつかバックナンバーを持ってきてくれました。心に響く記事が満載の素敵なものばかりでした。さらっと目を通してマガジンラックに入れっぱなしにしていたのですが、母が死んだあと、家で夜ぼーっとしていたとき、そのバックナンバーのひとつの表紙の顔写真に目がとまりました。その顔はお世辞にも幸せそうな雰囲気ではありません。「たしか、この人コロンビア人じゃなかったっけ?」私の抱いている南米人のイメージからはほど遠い暗さが全体にただよっていて、なにかにとても傷ついている感じが目に宿っています。表情もはっきりいって仏頂面。(失礼!) 前見たときは感じなかったのに・・・。

写真の主はエクトル・シエラさん。NGO「国境なきアーティスト(AWB)」の主宰者です。戦争で傷ついた子どもたちのために、現地で様々なアートワークショップを行っているご仁です。一度目を通したはずのその記事、でももう一度読んでみると、響き方が全然違う。シエラさんがしてこられた仕事のすばらしさがビンビン伝わってくる。思わずシエラさんの著書「国境なきアーティスト」(寺子屋新書)をネットで購入。むさぼるように読みました。

とにかく、母国コロンビアを飛び出してからの彼の動きはまさに国境知らず。崩壊前のソ連、空爆下のコソヴォ、セルビア、アフガン、ニューヨーク、東チモール etc,etc、そして日本。数々の戦地に実際身を置いてたどりついたのが現在のAWBの活動のようです。顔写真に出ていた悲しさは、きっとシエラさんが「見たもの」を映していたのでしょう。本で知りうる限り、ロシア語も日本語も母国語なみらしい。すごい人がいるものです。

本によると、戦争で心に深い傷を負った子どもたちにその戦争の絵を描かせると、戦争の「犠牲者」から「傍観者」に気持ちをだんだんスイッチさせることができるのだそうです。それによってその傷は癒されていく・・・。アートには、信じていたように、確かに「力」はあるようです。この本は私にもう一度希望をくれて、私自身も彼の仕事に癒されたひとりになりました。(この本のおかげで、新聞の見出しでしか見たことのないコーカサスの国々の相関関係や位置関係もよくわかりました。)

トラーベ・アート・フェスティバル2007 in 鎌倉の記録映画を完成させるにあたって、カジュの会員でもありその専門家である、大学教授のT氏のお宅に打ち合わせでお邪魔したところ、なんとシエラさんの話がでました。シエラさんのAWBのHPのデザインを手がけていらっしゃるのだそうです。二度びっくり。お宅でシエラさんが書かれた絵本も2冊見ることができました。どちらも、心の裏側のやわらかーい部分をこちょっとくすぐられるような、すてきなお話でした。

カジュの守護神大カエデの木が、例によって風を起こしてくれれば、おそらく、近々お会いできるでしょう。
そのうちなにかイベントでごしいっしょできるかな。いえ、私にできることとして、ぜひ、AWBの活動を鎌倉でご紹介したいと思います。
カジュ祭がいいなぁ。

その日を心からたのしみに。

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