南天・いぶし銀の輝き
原産はインド、中国。メギ科の常緑低木。「木」といっても年輪がないので、クサギと同じように木質化した「草」と言った方がよいかもしれません。金閣寺の床柱が南天だということは有名ですが、床柱になるほどの太さの南天にはあまりお目にかかったことがありませんね。そんなに大きくなるのにはどのくらいかかるのか、想像もつきません。
「南天竹子」とも言われますが、竹の仲間ではありません。北海道を除く日本各地でみられます。自生力のある植物ですが、主に庭木として植えられています。これはナンテンが「難転」に転じて縁起が良いとされるからだそうで、そのほかの慶事の装飾にも様々に登場しますね。
赤い実がつくものと、白い実がつくものがありますが、のど飴で有名な咳止め薬になるのは白実南天だけだそうです。カジュのは赤い実、残念。
葉に含まれているドメスチンというアルカロイドが強壮剤になるそうですが、多量に摂取すると知覚や運動神経の麻痺を引き起こすため、素人が安易に試すのは危険、ということ。
秋に紅葉する、とよく植物図鑑に書かれていますが、カジュの庭にあるものは一年中一本の株から緑の葉や赤い葉が色とりどりに出ていてきれいです。「紅葉(こうよう)」は、その後枯れて葉が落ちる場合に用いる言葉ではないでしょうか?とすると、常緑の南天の葉が紅くなるのは、なにか別のメカニズムであるような気がします。
色が抽出されにくいので、重曹をいれたアルカリ水で煮出します。すず媒染で渋いクリーム色から、うす黄緑、鉄媒染で緑味の灰色になります。どれもケレンミのある色ではありませんが、強い力を内に秘めているような底光りする色合いです。染め場には頭の冴える濃い香りが立ちこめます。
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