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2008/05/26

2008/05/26

アカネ ・ 郷愁と祈りの赤

Indo_akane


草かんむりに西、で茜(アカネ)。夕焼け色に思いを馳せた、なんて浪漫ちっくなネーミングでしょう。もともとは「赤い根」が語源で、文字通り根を用いて赤を染めます。

日本に流通するアカネは大きく分けると、セイヨウアカネ:Maddar root(Rubia tinctorum)、インドアカネ(Rubia Munjista)、ニホンアカネ(Rubia akane)の3種類があります。
同じアカネでも、セイヨウアカネとニホンアカネの色素は、アリザリンという成分が主で、インドアカネはプルプリンが主成分という違いがあります。どちらの分子もアントラキノンという色源体を持っていて、その色源体に付いている原子の位置と数が多少違うのです。

セイヨウ、インドはともに、少量でもたいへん明快な濃い色が得られます。どちらも、当然鎌倉には生えていませんのでこの2つについては染料店で乾燥ものを買っています。
これに対してニホンアカネは、何度も染めてやっと赤味がさすというぐらい手間がかかります。
ニホンアカネで赤を得ようとするとき、単に抽出するだけでは、赤橙色になってしまいます。乾燥した根を水にさらすと、黄色の色素がでてくるので、何度もさらして黄味を抜くことが大事になってくるようです。
平安時代に編纂された、古代法典延喜式の中に、アカネの処方に関する記述がいくつかあります。それによると、アカネを染めるときには必ず「白米」を用いたようです。煮た白米の汁に、水でさらしたアカネを入れると、汁が黄色く染まるので、その後、糊分を水洗いしたものを使うと、鮮やかなアカネ色が染まるといいます。

アカネは古来から染料であったばかりでなく、生薬としても有名でした。
利尿、止血、通経薬として、鼻血、吐血、血尿、血便、腎臓病、黄疸、神経痛、リューマチ、月経不順に効き目があるそうです。また、セイヨウアカネの成分 、アリザリンは食品添加物(食紅)として使われた時期があったそうですが、発がん性の疑いが出たことから、使用中止になったそうです。現在の食紅は主にコチニール(貝殻虫の一種)です。

鎌倉には今でも、ニホンアカネの群生が見られますが、イロイロな外来種の種が野原に飛来したり、宅地開発の際、別の土が持ち込まれたりすることから、年々目にしなくなっています。

最近、久しぶりにインドアカネを購入しまして、糸や袋物などを染めました。
材質や媒染の違いで様々な、「アカネ」色が出ます。

コロンビア人の人道活動家の知人エクトル・シエラが、子供の絵のワークショップをしていて気づいた興味深いエピソードを教えしてくれました。
戦争被災地の子供は太陽を黒く塗ることが多いのだそうです。胸が痛みます。また、イスラム文化圏の子供も同様に黒く塗ることがあるそうで、これは、砂漠という過酷な土地で生きる彼らにとって、太陽が必ずしも恵みではないから、という説があるのだそうです。
エクトルさんの故郷南米では、黄色。陽気なラティーノ気質が出ていますね。

言うまでもなく、日本の子供たちは、お絵描きで太陽は真っ赤にします。
不思議ですよね、よく考えると。
でも、草かんむりに西の字をあてて、アカネというように、日本人にとって太陽は、西の空を真っ赤に染める、「夕焼け」と同義語なのでしょうね。「夕焼け小焼け」「となりのあかねちゃん」「茜雲」・・・いずれも日本人のノスタルジーを、ただちに呼びつけてしまうツボ・ワードではないでしょうか。

花言葉は、私を思って・媚び・誹謗・陰口・傷
ちょっとこわいですね・・・。





※この記事を書くにあたりましては、以下のウェブサイト、文献を参考にいたしました。


http://www2.odn.ne.jp/~had26900/medplant/herbs/seiyoakane.htm


http://www.e-yakusou.com/yakusou/009.htm

http://ja.wikipedia.org/wiki/アカネ色素

http://www005.upp.so-net.ne.jp/fumoto/linkp09.htm
http://www.floword.net/2005/09/post_11.html
「ウールの植物染色」 寺村祐子著 (文化出版局)
「やさしい植物染料入門」 吉岡常雄著 (紫紅社)

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