クワ ・ 静かに響く木賊(とくさ)色
クワ(桑)。クワ科クワ属の総称。
カイコの餌として、昔から、日本ではお馴染みの植物。原産地は中国北部ですが、日本の地形図の地図記号には、「クワ」の記号があるほど(上記写真右)、日本の国土に根ざした植物です。
日本には主にログワ、ヤマグワ、カラヤマグワの3種類が生息しています。
落葉性の高木ですが、鎌倉界隈では、1m前後の小さいものがよく、野原にはえているのをみかけます。
そんな野原の桑に実がついているのはあまり見ませんが、私の家には、大きなヤマグワの木があって、今まさに実をたわわにつけています。去年は、葉は乾燥させてお茶にしたのですが、実は落ちるに任せていたので、今年はちゃんと収穫して、果実酒、ジャムに挑戦しようと思います。雌雄異株と言われますが、同株のものもあるとか。
葉の形が、実は様々ありまして、大きい木、雄の木ですとハート形が多いように思いますが、うちのは深く切り込みが入った葉です。
数年前、息子の学校の宿題でお蚕さんを飼うというプロジェクトがあったとき、夜中に桑の葉を探しにいったりしましたっけね。
童謡「あかとんぼ」の歌詞にも「にわの はたけの くわのみを・・・」とあるように、子供には絶好のお遊びアイテム。私はよく子供の頃、あまり食べるとおなかを壊すよ、と祖母に言われた記憶があります。
この実、高い抗酸化作用で知られる色素・アントシアニンをはじめとする、ポリフェノールを多く含有するのだそうで、 最近人気が再燃しているのだそうです。
ログワの根皮は桑白皮(そうはくひ)という生薬として有名です。。(日本薬局方による)
利尿、血圧降下、血糖降下作用、解熱、鎮咳などの作用があり、五虎湯(ごことう)、清肺湯(せいはいとう)などの材料になるそうです。
去年、はじめてこの桑の枝葉でシルクのスカーフを染めてみました。
鉄媒染で、深い緑味のグレーが出ました。古語辞典をあててみたところ、「木賊(とくさ)」色とういう表現がぴったりでした。
さて、明日の染の教室では、この桑をふただび染めてみようと思います。
媒染は、アルミ、鉄の2種類で。
ご報告はまた後日。
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