スギナ ・ 慈愛の海松色(みるいろ)
鎌倉界隈の空き地には、4月の声を聞く頃になるとあちこちでスギナが目立ち始めます。
俗に「つくしの親」などといいますが、正しくは、先んじて出るツクシは「胞子茎」、あとから出るスギナは「栄養茎」という、どちらも地上茎です。
カジュの庭にも春になると、それこそウキウキと生えてくるので、時々採取し、乾燥させてお茶にしていますが、今まで染めたことはありませんでした。
お茶として有用な主な成分は、サポニン、ビタミンC、ミネラルなどで、民間療法では飲用すると血液の流れをよくする、血管を強くするほか、
利尿、去痰、解熱などに効果があるとされています。「5〜10グラムを1日量として煎じ、3回に分けて服用。」と文献にありましたが、量はあまり気にせずお茶っぱといっしょに急須に適当に入れて熱湯を注ぎ、少し長めに蒸らして飲んでいます。
スギナ自身は庭に群生していても特に香るということはないのですが、ザルに広げたスギナを部屋で陰干しにしてすると、部屋中に杉の香りが漂いはじめます。これがなんとも心地よい。
なので、「これが名の由来か?」と思ったのですが、文献にはとくに記述が見当たりません。
ツクシは食用に。頭の「胞子袋」の間が開いてしまったものはえぐいので、胞子袋が開く前の若い者を採取。はかまをとって天ぷら、煮浸しにし、春の息吹をいただきます。
陰干しにしたものを1時間ほどに出し染めてみたところ、すず媒染でやわらかな黄色(ウール)、金茶色(濃染処理/麻)、鉄媒染で美しい海松色(みるいろ)を得ました。"調味料はなくとも美味しくいただける出汁のきいたお吸い物"のような色です。(笑)
染めたいものの重さと同じぐらいの量があった方がよいでしょう。生の場合は5割増で。
花言葉は「向上心」「意外」「驚き」「努力」。3月6日の誕生花。
【参考文献/サイト】
・http://www.e-yakusou.com/
・http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
・http://ja.wikipedia.org/wiki/スギナ
・http://www.hanakotoba.name/
・http://jp.hanavitamin.com/days/todayshanavitamin0306.php
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink/botan/flower2/flowers.htm
・「薬草図鑑」伊沢凡人・会田民雄/著 家の光協会
・「生薬101の科学」 清水岑夫/著 講談社
・「よくわかる山菜大図鑑」今井國勝・今井万岐子/著 永岡書店
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
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