スイカズラ・良薬の漆黒
この時期鎌倉の谷戸を歩いていて、ふと甘い匂いが漂ってきたら、そばに白い花をつけたつる状の植物が見つかるはずです。
スイカズラ。別名、忍冬(ニンドウ)、竜爪花(リュウソウカ)、金銀花(キンギンカ)。
「水を吸う葛」の意から「吸葛」となった、 花の奥の方にある蜜(みつ)を子どもが吸って遊んだことから「吸葛」となった、と名前の由来には諸説あります。
5月の声をきくとカジュの庭にも塀伝いにつるがワッサリと伸び、今頃ちょうど白い花が咲きます。文献にあったので、花をつまんで吸ってみたところ、芳しい香りとともにほんのりした甘さ(成分はイノシトール)が感じられました。クチナシの花のように、白い花はしばらくすると黄色に変わってゆきます。別名の一つ「金銀花」はこの様子を表しているのでしょうね。
高い効能のある生薬として知られており、生薬名では金銀花(花)、忍冬(茎・葉)。ともに、煎じたものは、うがいに用いれば口内炎や歯肉炎を癒し、入浴剤とすれば各種皮膚炎、腰痛や痔の痛み、湿疹、あせも、ただれを治すといいます。
花は可憐ですが、全体の印象はなかなかに力強いです。その力強さを示すように、少量でも濃い煎じ液となり、タンニンが多いせいか、鉄媒染ではたいへん美しい黒が得られました。
花言葉は、「愛の絆」「献身的な愛」「友愛」「寛大と誠の愛」
5/29・6/3・6/15の誕生花。
◎忍冬酒(にんどうしゅ)の作り方◎
スイカズラの開花期に花とつぼみをとり、100gに対して1.8ℓの割合でホワイトリカーを入れて、砂糖を30〜40g入れて、1ヶ月以上熟成。香りのよい美しい淡黄色の忍冬酒(にんどうしゅ)が
できる。利尿作用があり、膀胱炎、腎臓病、各種皮膚病、強壮、強請にも効き目があるとされる。
参考文献/サイト
・http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
・http://www.hana300.com
・http://www.e-yakusou.com
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink
・「生薬101の科学」 清水岑夫/著 講談社
・「季節の野草・山草図鑑」高村忠彦/監修 日本文芸社
・「薬草図鑑」伊沢凡人・会田民雄/著 家の光協会
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