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2010/07/16

シロツメクサ・真緑の嘘

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ヨーロッパ原産のマメ科の多年草。学名 「Trifolium repens」。Trifolium(トリフォリウム)は、ラテン語の「treis(三)+ folium(葉)」が語源です。葉が三つ葉でできていることから。日本ではオランダゲンゲ、ウマゴヤシ(馬肥)などと呼んでいる地方もあります。
ほとんどが三つ葉ですが、まれに四つ葉があり、幸運のシンボルとされているのはよく知られているところですね。英語では、White Clover, Duch Cloverなどと言います。

1846年、当時の薩摩藩主、島津斉興(斉彬の父)が藩の切迫した財政難を打開するため、薬を特産品にすることを思いつき、製薬会社「中村製薬館」を設立しました。そして薬を入れるためのガラスの器を制作する硝子製造業も興こし、これが「薩摩切り子」のはじまりとなりました。島津さん、ビジネスマンです。

そんないきさつの中、オランダからガラス製品(ギヤマン)が薩摩藩に献上されました。その献上品が割れないように、梱包材として乾燥させたクローバーの花が使われていたことから「詰め物の白い草」がこの名になり、その中のものが発芽して日本に帰化しました。
本格的に入ってくるのは、明治時代に家畜の飼料として導入されてからで、以後日本各地で自生するようになりました。

マメ科の植物にある根粒バクテリアが窒素を土に蓄える働きをすることから、シロツメクサも休閑期の畑に意図的に植えて、土壌改良することがあるそうです。

若葉、花を食用にできます。葉は天ぷら、茹でて水にさらしてから、和え物、油いためなどにして食べます。 花は、茹でてさらしてから酢の物に。つぼみや花を乾燥させたものを煎じて、風邪や鎮痛、便秘改善に用いることもできます。

鎌倉でも春から夏にかけて白い花があちこちで目につきますね。昔はよく、シロツメクサの花で冠を編んで遊んだりしましたが、最近はお出入り自由の野原がないせいか、子供たちが冠作りで遊んでいるところをとんとみません。ちょっと寂しいですね。

あまりにも身近すぎて今まで染めたことはなかったのですが。ふと思い立って染めてみたら、あらら、びっくり。
アルカリ抽出してみたところ、「何かの間違いでは??」と疑いたくなるようなビリジアン・グリーンが出ました!

何度も言いますが、「緑」と「赤」は植物染色で最も出にくい色なのです。それが、今まで染めたどの緑より緑。クレヨンの緑。

よく、あまりにも臆面もないウソのことを「真っ赤なウソ」といいますが、まさに「真っ緑のウソ」・・・のような色。もう一度やってみて同じ色が出たらウソから出た「真(まこと)の緑」と申せましょう。近々もう一度染めてみます。

花言葉は「感化」「約束」「私のことを思って!」
6/17・8/31の誕生花。
ちなみに四つ葉の場合は「私のものになって!」「幸運」。・・・なんか、「幸せは自分でつかめよっ。」って、あのちっぽけだけど妙に強そうなシロツメクサに言われちゃうわけね・・・。

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【参考サイト/文献】

ttp://had0.big.ous.ac.jp/index.html

http://www.hana300.com

http://www.e-yakusou.com

http://members.jcom.home.ne.jp/tink

・「季節の野草・山草図鑑」高村忠彦/監修  日本文芸社

・サントリー美術館「「まぼろしの薩摩切子」展カタログ

・「季節の野草・山草図鑑」高村忠彦/監修  日本文芸社

・「新和英中辞典」 研究社


 (C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房  禁転載

 

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鎌倉染色彩時記(染)」カテゴリの記事

コメント

シロツメクサの由来を調べていてこのサイトにたどり着きました。他のサイトではオランダから江戸幕府に献上されたガラス製品の詰め物として持ち込まれたという記述が多いのですが、そちらではじめて薩摩藩に献上されたという記述を目にしました。中村製薬館や参考サイト等調べてみましたが、その話を見つけることができませんでした。よければ該当の参考資料を教えていただけませんか。

投稿: 友利敏彦 | 2019/08/05 08:08

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