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2010/08/06

ヒメヒオウギズイセン・小粋な姐さん色

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梅雨の終わり頃から、あちこちの野原に、ちらりちらりと鮮やかな橙色の花が刺さるようにさいているのを目にしたことはありませんか。

「雑草」にくくるには威厳のあるその切れのいい姿に「どこぞのやんごとなきお花でしょう?」とずっと気になっていました。

お名前は「ヒメヒオウギズイセン」とおっしゃいます。学名Crocosmia x crocosmiiflora。
同じアヤメ科のヒオウギズイセン( Crocosmia aurea )と、トウショウブ(Crocosmia pottsii ( Baker ) N.E.Br.)との交配種。花がアヤメに、葉がヒオウギに似ているところからこの名になったようです。

元となったヒオウギズイセンも、このヒメヒオウギズイセンも英語ではどちらも「Montbretia(モントブレチア)」といいます。
モントブレチアは、南アフリカ原産で、イーストケープ州を中心に2km〜2.5kmの範囲で、モザンビークやマラウィ辺りを北限として野生で自生しているそうです。

特に針葉樹の林の下など、湿気の多いところに好んで生え、9種類ほどが確認されているとか。南アフリカに行ったことのある方、見たことありますか?

日本には園芸種として明治時代の中頃に観賞用としてもたらされ、今では日本各地で自生しています。鎌倉でも、林や川縁、崖などに夏になるとよく見かけ、7月〜8月に鮮やかな橙色の小花を鈴なりにつけます。
私の見る限り、鎌倉ではミョウガが生えるところによくいっしょに生えている気がします。強い植物で、地下茎(球根茎)で増え旺盛に繁殖します。

中国では、球茎を薬用にするそうです。花(花粉)は、サフランの代用品として食用染料(黄色)として用いられることがあるそうです。これを知って染めずにいられましょうか。

葉と茎を煮出してみたところ、少量で大変濃い赤茶の液になったのはびっくりです。黄色が染まるかと思いましたが、その液の色を見事に反映してアルミでピンク、銅ですばらしく粋な海老茶が染まりました。

この暑さをもろともせずに、野原の緑のなかにぴりっとした挿し色として橙色の花を咲かせる様は、さしずめ「小股の切れ上がったいいヲンナ」の風情です。

秋篠宮妃紀子様のお印の花。

花言葉は「伝統」。(ちなみにヒオウギズイセンは「豊かな心」。)

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【参考サイト/文献】

http://boroboro.seesaa.net/article/4831205.html

http://members.jcom.home.ne.jp/tink

http://www.hana300.com/

http://members.jcom.home.ne.jp/siroiyama2/

http://newpfaf.webhost4life.com/user/default.aspx

http://plantdb.ipc.miyakyo-u.ac.jp/

http://www2.mmc.atomi.ac.jp/

・「学生版 牧野日本植物図鑑」 牧野富太郎/著 北隆館




(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房  禁転載


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