カラスウリ・怪しい夜色
【学名】 Trichosanthes cucumeroides
【英名】 Ivy gourd (ヤサイカラスウリ= Coccinia grandis), Snake gourd(ヘビウリ= Trichosanthes cucumerina)
【別名】 タマズサ(玉章 =種) キツネノマクラ(狐の枕)
【生薬名】 ドカコン(土瓜根=根)、オウガコン(王瓜根 = 根)、オウガシ(王瓜子 = 種子)
【科】 ウリ科
鎌倉の野山には実にたくさんのツル植物がおります。クズ、ヤマブドウ、ノブドウ、アケビ、ヤマイモ、そしてカラスウリ。今年はとくに勢いがいいなぁと思います。
中国、日本原産のツル性の多年草。花をよく見ると、実は雌雄異株ということがわかります。
学名のTrichosanthes(トリコサンセス)は、 ギリシャ語の 「thrix(毛)+ anthos(花)」が語源。 雄花、雌花ともに白い花先がレース状に広がる様子を表しているネーミングです。
鎌倉の野原や空き地にも、夏になるとたくさんのカラスウリのツルが現れ、日暮れから怪しい花が開き始めます。そう、カラスウリの花は夜開くのです。
短い時間しか咲かず、しかも一度きり。また、一つの株には雄花、雌花のどちらかしか咲かないので、受粉にはかなり厳しい条件のように思えますが、姿といい、香りといいそれを補ってあまりあるこの花の妖艶さと迫力・・・! 人生(ウリ生?)を夏の夜の一瞬にかける、このギャンブルな輝き!・・・ 次はそんなヲンナに生まれてみたい。
アセモ予防にと子供の頃、お風呂上がりにパタパタとはたいてもらったテンカフン(天瓜粉)は、このカラスウリ、キカラスウリ、シナカラスウリなどの根の澱粉だってこと、ご存知でしたか?
しもやけ、ひび、あかぎれなどには、カラスウリの実の汁を塗るとよいそうです。根や種子の煎じ液を服用すると、熱による乾きや便秘、利尿に効果があり、乳の出をよくするともいわれています。
【カラスウリの ひび・あかぎれ用ローション】
1. 精製水300〜400ccとカラスウリの実を3,4個よく洗い、種ごとミキサーに かけてガーゼで濾す。
2. 1に薬用アルコールまたは度数35°の焼酎を250〜300cc入れ、密閉容器に入れて冷暗所で一週間ほど寝かせる。。
3. 好みで植物油またはグリセリンを加えて出来上がり。
※ヘチマ水をとる要領で、つるの中ほどを切り、先端を一升瓶に入れて「カラスウリ水」をとる方法もある。
去年初めて薮と化した工房の庭にカラスウリのツルを見つけ、葉といっしょに染めてみました。花の怪しさに比べて実に清楚な色が染まりました。アルミですっきりした黄緑、銅、鉄で朽葉色。アルカリ水で抽出した方が色が濃いですが、色味はあまり変わりません。
タマズサ(玉章)の異名があるのは、その種子の形に由来します。
玉章は「手紙」「文」を意味する雅語で、実の中にできた無数の種子は、よく見ると、なるほど結び文の形をしているんですね。大黒様の打ち出の小槌に例えられることもあるようで、お財布に入れておくとよいそうです。
「玉瓜」「玉章」の名で、ともに 秋の季語。
花言葉は、「よき便り」「誠実」「男ぎらい」
【参考サイト/文献】
・http://www.hana300.com/
・http://www.e-yakusou.com/
・http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
・http://ja.wikipedia.org/wiki/カラスウリ
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink/
・http://newpfaf.webhost4life.com/user/default.aspx
・「学生版 牧野日本植物図鑑」 牧野富太郎/著 北隆館
・「薬草図鑑」伊沢凡人・会田民雄/著 家の光協会
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