紅花・ヲンナ道の色
【学名】 Carthamus
【英名】 Safflower
【別名】 クレノアイ(呉藍)、スエツムハナ(末摘花)
【生薬名】 コウカ(紅花)
【科】 キク科
学名のCarthamus(カーサマス)は、アラビア語 「quartom(染める)」が語源。エジプト原産、または地中海沿岸、中央アジア原産の説があります。
日本にはシルクロードを経て4〜5世紀に伝わったという説と、6世紀に高句麗(こうくり)の僧侶が日本に紹介したという説があります。日本では江戸時代に山形で栽培が始まったといわれ、現在でも盛んです。
花から得られる紅は女性の口紅にされ、平安王朝人の紅や桜色の衣装を染め、また、古代エジプトのミイラの布の防腐にも使われたといいます。
呉(クレ=3世紀、三国時代の長江流域にあった国名)の藍(アイ=この場合はインディゴではなく単に”染料”の意味)がなまって「くれない」となりました。ちなみに着物を表す「呉服」も、もともとは呉の国で織られていた高級な絹織物のことをさす言葉でした。
紅花はまず、水につけて黄色の色素を出し、その後、炭酸ソーダなどを加えたアルカリ水で赤の色素を取り出して染色します。媒染は行ないません。
赤の色素は熱に弱いので、40℃以上にしてはいけません。そのため、煮沸しないと染色できないウールは染めるのが難しいです。
はじめに水に浸して抽出した黄水は、アルミや錫の媒染で美しい黄色を染めることができます。この場合は煮沸して染めますから、ウールもok。
生薬としても古くから用いられ、血流をよくする作用で知られています。月経不順、冷え性、更年期障害など、女性特有の病状に特に効果があることで知られています。
スオウやアカネなど、赤を染める染料には共通する(でもそれぞれ違う)独特の「香り」があります。これが素直に「芳香」とは呼べないクセのある香りで、特に紅花は強烈です。
なんといいましょうか、婦人病の特効薬というだけあって、深い深い「女の業」のにおい・・・と、私はいつも思うのです。赤はまさにヲンナそのもの、そんなことを毎回感じます。
といいましても、教室で染め上がった色は、春を感じさせる華やかなピンク!心がウキウキする色でした。黄色もしっかりてして、身につけるだけで弱った心身が元気になる感じの色でした。
花言葉は「区別」「包容力・」「熱狂」「夢中」「装い」「差別」。6/11の誕生花。
別名のスエツムハナは、開いた花の先だけを摘み取ることから。源氏物語に出てきますね。
【参考サイト/文献】
・http://www.hana300.com
・http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink/
・http://ja.wikipedia.org/wiki/ベニバナ
・「草木染め技法全書1 糸染め・浸し初めの基本」山崎青樹/ 著 美術出版社
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「草木染め 染料植物図鑑」 山崎青樹/ 著 美術出版社
・「生薬101の科学」 清水岑夫/著 講談社
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