« ユキノシタ・美味しい東雲色(しののめいろ) | トップページ | クズ・強いヲンナの若菜色 »

2012/06/20

ザクロ・砂漠の民の菜種油色

Zakuro01 Zakuro03

【学名】  Punica granatum
【英名】  Pomegranate
【別名】  石榴(セキリュウ)
【生薬名】 石榴皮(ざくろひ=樹皮)、石榴果皮(せきりゅうかひ=果皮)、石榴根皮(せきりゅうこんぴ=根皮)
【科】     ザクロ科 

今時分になると、鎌倉のあちこちに、ぴりっとした朱色のザクロの花が、濃い緑の中にさし色として目につきますね。

学名のPunica(プニカ)は、ラテン語の「punicus(カルタゴの)」が語源。

小アジア原産で日本に渡来したのは平安時代といわれます。イラン、イラク、トルコにまたがるザグロス山脈が名前の語源とする説が有力ですが漢字の読み「石榴(せきりゅう)=中国式でジャクロ」がなまったという説もあります。英語のPomegranate(ポムグラネイト)は、響きがかわいすぎて、おどろおどろしいザクロの感じがしませんね。

父がアラブにいた時、よく食卓にザクロがあり、ここでは身近な果物なんだなぁと思ったものです。アラブ諸国ではイチジク、ナツメと並んで大切にされる果物で、大事な客人のもてなしに出てくる「ウージーマクモー」という料理は、ザクロで味付けした米や野菜をつめた羊を土に埋めた釜で丸ごと蒸し焼きにするもの。ちょうどターキーにクランベリーソースをかけて食べる感覚に似ています。

種が多いことから昔から世界各地で子孫繁栄、豊穣のシンボルとされ、神話や民話にも多く登場します。日本では鬼子母神の話が有名で、俗にザクロは人肉の味、といわれるのはここから。

男性の中にいる唯一の女性のことを「紅一点」といますが、一説では、中国の王安石が石榴の林の中に咲く花を詠んだ有名な詩、「万緑叢中一点紅。動人春色不須多」(万緑叢中に紅一点あり。人を動かす春色は須らく多かるべからず=一面緑色の草原に1つだけ赤い花(ザクロ)が咲いている。春の景色はこれだけで人を感動させてしまう。)に由来するそうです。

花言葉は「円熟した優美」「子孫の守護」「互いに思う」「おろかしさ」「節操」「野心」
6/28・8/7・8/27の誕生花。秋の季語。

写真は、西御門サローネ(旧・里見 邸)のザクロの木です。
堅いつぼみから、紙のように軽やかな花びらがはじけ、梅雨時期から開花、夏過ぎに実ができます。

枝、葉、樹皮、果実皮ともに、たいへん優秀な染料です。 とくに果実皮は乾燥させて保存できるので重宝です。
中央アジアでは大昔から羊毛の染色に欠かせません。日本でも灰汁の媒染で黄色、鉄媒染で黒を染めるのが知られていました。

【ザクロの果皮の保存】

・種をきれいに取り除く。(これがかなりの厄介仕事。終わる頃には手が血だらけ?の様相になる・・・。)
・水でよく洗い、皮を4〜5つぐらいに割り、水気をよく拭き取る。
・皮の内側を上に向けて、ザルに並べて日干しにする。
※内側にカビが生えやすいので、よく水気を拭き取ってから、天気の良い日に一気に乾かすのがコツ。保存も風通しの良い所で。
 但し虫がつくので、完全に乾いたらビニール袋などに入れる。

ザクロは太古の昔より、その高い薬効も知られていました。漢方では主に根の皮、樹皮の皮が使われ、特に条虫(ジョウチュウ)なかでカギサナダムシの虫下しには著しい効果があります。

ザクロの果皮には多量のタンニンが含まれていて、下痢止め、止血の目的で1日量3〜5グラムを煎じて3回に分けて食間に服用。 大量に服用すると、腹痛や嘔吐(おうと)などの副作用があるので注意が必要。

実には、女性ホルモンの一種エストロゲンと同じ働きをする物質がたくさんはいっているため、最近女性に人気がありますね。中国では、子宮頸がんの治療に果皮と種子を砕いて服用するといいます。

【ザクロ酒の造り方】

・ザクロ         3〜6個
・35゜ ホワイトリカー 1,8ℓ
・氷砂糖         100g

・ザクロの実から粒だけを丁寧に取り出す。
・梅酒と同じ要領で粒- 砂糖- 粒と交互に広口瓶にいれ、最後にホワイトリッカーを注ぐ。
・一週間ほどで砂糖が溶け、色が赤くなっていたら、種を取り出す。

水割り、お酢割り、ソーダ割りでどうぞ。

枝葉をいただいて銅で媒染したところ、"月の砂漠"を連想させるような黄金、古代色でいう菜種油(なたねゆ)色になりました。

Sc_zakuro_nataneyu03

【参考文献/サイト】

・「草木染め 染料植物図鑑」 山崎青樹/ 著 美術出版社
・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店
・「薬草図鑑」伊沢凡人・会田民雄/著 家の光協会
http://www.e-yakusou.com/
http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
http://members.jcom.home.ne.jp/tink/
http://www.hana300.com/

|

« ユキノシタ・美味しい東雲色(しののめいろ) | トップページ | クズ・強いヲンナの若菜色 »

鎌倉・染色彩時記(染)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ユキノシタ・美味しい東雲色(しののめいろ) | トップページ | クズ・強いヲンナの若菜色 »