マキノキ・やるせない慕情色
【学名】 Podocarpus macrophyllus
【英名】 Chinese black pine
【別名】 槇(まき)、草槇(くさまき)
【生薬名】
【科】 マキ科
関東以南の各地に見られる日本原産の針葉樹。鎌倉でも生け垣や庭木によく見かけます。学名の「Podocarpus」は「マキ属」を表し、 「macrophyllus」は 「大きな葉の」の意
Podocarpus(ポドカーパス)は、ギリシャ語の「podos(足)+ carpos(果)」が語源。 種子のつけ根の「花托(かたく)」部分がふくらむことから。 この花托はあきになると赤くなり、この先に緑色の実がつきます。ちょうど、9月下旬ごろに、カジュのマキノキは2年に一度ぐらい実を付けます。赤い花托は甘くて美味しいですが、硬くて種子の方は食べられません。
イヌマキの名があるのは、昔、杉や檜をマキノキと呼んだことから、「それには劣る似て非なる木」の意味で「犬」が付けられたという説や、紀伊半島や四国地方ではコウヤマキを本槇と呼ぶことから、という説がありますがはっきりしません。
中国産のラカンマキは、“羅漢の松”といい、中国では「神の木」として珍重されているそうです。
仕立てられた樹姿・枝ぶりがが「龍」(“昇龍”)に似ているので、縁起物の樹とされています。
同じマキ科目の「ナギ」は熊野神社ではご神木とされています。
確かに凛とした気品のある、それでいて周りを包み込むような柔らかさを備えた木だな、と思います。
サンゴジュ、ビワ
と並んで、赤茶やピンクの染まる貴重な染料です。他の樹木系の染料に比べ、抽出や色が糸に着くのに時間がかかります。きれいな色になるのがわかっているだけに「うーん、ジラしちゃいやん。」とつま先で床に「の」の字を書きながら、愛しい色を待つ気分。
3,4時間じっくり煮出したあたりから、液がほんわかピンク色になります。これをアルミ媒染するとピンク、液を一晩寝かせて銅媒染すると、美しい赤茶が得られます。量が少ないと赤みのベージュ。
季節や煮出す時間の違いなどで色が転びやすいところも実は魅力で、それは、恋人の心変わりを悶々と心配する心持ちです。
花言葉は「色あせぬ恋」、「はかない恋」、「豊かさ」「財産」。千葉県の県木。
【参考サイト/文献】
・http://www.hana300.com/inumak.html
・http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
・http://ja.wikipedia.org/wiki/イヌマキ
・http://ja.wikipedia.org/wiki/ナギ
・http://www001.upp.so-net.ne.jp/Mikan/hana/index.htm
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink/botan/flower2/flowers.htm
・http://www.fb.u-tokai.ac.jp/WWW/hoshi/plant/plant.html
・http://www.eonet.ne.jp/~kaku/page500.html
・http://ejje.weblio.jp/
・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店
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