センダン・光る名脇役の色
【学名】 Melia azedarach var.subtrpinnata
【英名】 Japanese bead tree、Chinaberry
【別名】 オオチ、アウチ(楝、阿布知) アミノキ
【生薬名】 苦楝子(くれんし=実)、苦楝皮(くれんぴ=幹皮)
【科】 センダン科
秋にころころとした実が枝にたわわにつき、葉が落ちた後も木に残るさまが数珠のようであることから 「センダマ」(千珠)といわれ、これが転じてセンダンの名となったという説や実の多くついた様子を「千団子」に見たてたという説などがあります。
材は細工がしやすく、建築用装飾、家具、木魚、下駄などに用いられています。アウチの名で万葉集にも詠まれています。 カジュの裏庭のセンダンの木には、夏に薄紫の小花がたくさんつきます。
カジュの同居人、タイワンリスたちがこのセンダンの皮を剥いでしまい、10mはあろうかという大木はほとんど枯れてしまいました・・・と思ったら、泡が吹くように枯れた幹から新芽が出てきて、元気に再生しています。
よく、「センダンは双葉よりかんばし」というので「どれどれ」と煮出している間も鍋に顔を寄せてにおいを嗅いでみましたが、確かにすっきりした青々しい香りはするものの、別段芳香というわけではないような・・・。調べてみると、この場合のセンダンとは東インド、マレーシアの原産ビャクダン科の栴檀(せんだん)で全くの別人でありました。
センダンの果実を、秋に黄熟したものを採取して、果肉の部分を生のまま用いるか、天日で乾燥させたものを 生薬で、苦楝子といいます。苦楝子は、整腸、鎮痛薬として腹痛や疝痛(せんつう)には、煎じて服用。
木の皮を乾燥させた苦楝皮(くれんぴ)は、虫下しに煎じて服用。
農業用の害虫駆除にも用いられる。
民間では、ひび、あかぎれ、しもやけに黄熟した生(なま)の
果実の果肉の部分をすりつぶして患部に塗布する方法が伝わっています。
芽吹いたばかりの新しい枝葉で今年も何度か染めてみました。アルミや錫、クロームで得られる黄色が美しいです。鮮やか、というのではないのですが、他の色を引き立てるような奥ゆかしさがあり、織りでは縞を考えるときに重宝します。ちょうど、その人が居ることで全体が締まる、というような経験を積んだ脇役の俳優さんの演技のような輝きです。一度、アルカリ抽出+銅で夏場、翡翠色が得られたのは驚きでした。なんか、脇役が主役を食ってしまったような、澄んでいながら一癖ある緑色でした。
花言葉は、「意見の相違」。
【参考サイト/文献】
・http://www.e-yakusou.com/
・http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink/
・「季節の野草・山草図鑑」高村忠彦/監修 日本文芸社
・「薬草図鑑」伊沢凡人・会田民雄/著 家の光協会
・「草木染め 染料植物図鑑」 山崎青樹/ 著 美術出版社
・「続々・草木染め 染料植物図鑑」 山崎青樹/ 著 美術出版社
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