トウダイグサ・太陽がいっぱい
【学名】 Euphorbia helioscopia L.
【別名】 スズフリバナ(鈴振り花)、 オオカミノチチ(狼の乳)
【英名】 Sun splurge
【生薬名】 タクシツ(沢漆)
【科】 トウダイグサ科
学名の「Euphorbia」(ユーフォルビア)は、ローマ時代のローマの属国、アフリカのマウレタリアの王に仕えた医師の名前に由来します。(この医師がトウダイグサの白い液を始めて薬として用いた)「helioscopia 」は、「向日性の」の意味で、実際、日当りのよいところに好んで群生しているのを鎌倉でもこのごろよくみかけます。これが英語名「sun splurge(太陽食い)」 にも現れていますね。 それを知ってあらためて見ると、トウダイグサの生えているところだけが薄黄色く発光しているように見えてきます。
前から気になっていて、今回始めて染めてみることに! 煮出してみると、その溜め込んだ太陽の光が、一気に溢れ出たような濃い黄色の液体となり、アルミで力強い黄色、銅でうぐいす色、鉄では 漆黒が染ました。染液からはソバをゆでているような独特の香りがたちこめました。
沢漆(たくしつ)の名で生薬として知られており、主に有効成分はサポニン。服用すると解熱、皮膚の熱をとる、腹水、手足や顔面の浮腫を改善する、免疫力を高めるなどの効能があるといわれています。
タンポポのように、茎を手折ると苦く白い液が出てくるが、これを塗ると水虫に効果があるともいわれます。 但し、近種のタカトウダイ(トウダイグサより大きい)の汁はかぶれるので注意。いずれにしても文献ではタカトウダイとともに毒草にくくられているので素人は処方しないほうがよいでしょう。
日本語の名前のトウダイ(燈台)は、海辺にあるそれではなく、ロウソクを灯した燭台のことで、なるほど長い茎の頭にある輪生した5枚の丸い葉の上に黄色い花がちょこんと乗っている様が、昔の燭台 に似ています。
花言葉は、「明るく照らして」、太陽食いの名には反して「控えめ」「地味」。
【参考サイト/文献】
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink/
・http://www.yakuzenjoho.net
・http://www.hana300.com/
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「和漢薬」赤松 金芳 / 著医歯薬出版株式会社
・「和漢三才図絵」/寺島良安 第95巻
・「季節の野草・山草図鑑」高村忠彦/監修 日本文芸社
・「新和英中辞典」 研究社
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