オガタマノキ・神の国の涅色(くりいろ)
【学名】 Michelia compressa
【英名】 Banana tree (カラネオガタマ=Michelia figo)
【別名】 ダイシコウ、トキワコブシ
【科】 モクレン科
日本原産。
古今伝授(歌道伝授の一。中世、古今集の語句の訓詁注釈を師から弟子に伝え授けたこと。三木・三鳥・三草などはその例)の三木(さんぼく)のひとつ。(あとの二つは「川菜草」と「蓍(めど)に削り花」。他諸説有り)
モクレン科の中で日本に自生するものでは唯一の常緑樹です。
漢字では「招霊木」と書きます。
日本神話で、天照大神(アマテラスオオミカミ)の天岩戸隠れにおいて天岩戸の前で舞った天鈿女命(アメノウズメ)が手にしていたとする説があります。(一説には笹であったとも。)
また、今日、神社の巫女神楽の舞い手が手にしている鈴は、このオガタマノキの実の形を模したという説があります。たしかに似ていますね。
巫女鈴(神楽鈴)
(photo from →here.)
榊の自生しない地域を中心に神前に供える玉串として古くから代用されたり、神木とされて神社に植栽されている例が多くみられます。
鎌倉宮(大塔宮)には市の天然記念物に指定されているオガタマノキがあり、一昨年の11月の末、既に落ち始めた実をいただいて染めてみました。
ほんのり甘い香りを放つ煮汁からはまさにオガタマノキの風情を思わせる「やさしさ」と「大地のエネルギーを感じさせる力強さ」を兼ね備えた色が得られました。銅媒染で得られた涅色 (くりいろ)(=赤みのコーヒーブラウン)が特に心に響きました。
中国原産のカラオガタマは近品種。
タイサンボクと同じ仲間で、やはり、甘い香りの花がつきます。中国名では「含笑花」と綴ります。この木の様子をよく表していて赴き深いですね。
カラネオガタマの花言葉は「甘い誘惑」。
参考サイト/文献
・http://ja.wikipedia.org/wiki/オガタマ
・http://www.hana300.com/
・http://item.rakuten.co.jp/hana-online
・http://www.pfaf.org
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店
・「大辞林」三省堂
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
| 固定リンク | 0
「鎌倉染色彩時記(染)」カテゴリの記事
- コチニール・南米の真紅(2024.09.17)
- ナガエコミカンソウ・隠しきれない憲法黒茶(2024.09.16)
- トウヘンボク・変わり者は輝く褐色(2024.09.16)
- カタヒバ ・木に憧れて、梅幸茶(2024.09.15)
- ナツメ・馬も驚く柿茶色(2024.09.13)
コメント