« トマト・アンデスの渋き風 | トップページ | ムラサキシキブ・引き立て役のうぐいす色 »

2013/10/13

モッコク・人情味の赤茶

Mokkoku02

【学名】  Ternstroemia gymnanthera
【英名】  Evergreen Tree
【別名】  水木犀(みずもくせい)、 アカミノキ(?)
【科】     ツバキ科

 

漢字では「木斛」。花の香りが「セッコク」(石斛,ラン科)に似ていることから,モッコク(木斛)と呼ばれるようになったという説、インド原産の香木「モッコウ(木香)」と間違われて名付けられたという説などがあります。
花や材に香りがあるため,中国では「厚皮香」というそうです。
学名でモッコク属を表す「Ternstroemia(ターンストロエミア)」は18世紀のスウェーデンの自然科学者、Ternstroem にちなみます。

別名「アカミノキ」と記されたサイトや文献がいつくか見当たるが、染色の世界でアカミノキといえばマメ科のログウッドを示すのが一般的で、まったくの別人。
ログウッドは数少ない木綿や麻が染まる染料として有名で、特に鉄媒染で美しい黒を得ることができ、最近ではヘナにかわって白髪染めとしても人気がありますね。

モッコクでも鉄で黒は出ます。八丈島には、カテキュー(マングローブの煎じ液の固形)が出回るまで、モッコクの煎じ液を魚の網の耐水加工の染料に用いていたという記録が残っているそうです。

樹皮にはタンニンを含み、材部にはサポニンの一種、種子には脂肪油、ヒドロオキシエリスロジオールを含むことが知られ、生薬としても利用価値があります。
痔には、乾燥葉1回量5〜10gを水100ccで1/3に煎じて服用。 食あたりには乾燥した樹皮を1回量3〜6gを水400ccで1/2に煎じて服用するとよいそうです。

カジュの庭には、いつの間にかモッコクの木が3本も生えていました!
鳥の糞が種を運んだ「実生(みしょう)=接ぎ木などではなく、種から芽吹き成長)」です。
成長が早く、すぐに大きな木になってしまいます。冬に葉の何枚かがとても美しく紅葉します。

ツバキ科によく見られるように、モッコクも銅媒染で赤味の茶色が得られます。
アルカリ抽出すると赤味が増すようです。

花言葉は「人情家」。

参考サイト/文献

http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
http://members.jcom.home.ne.jp/tink/
http://sasa23.hanagumori.com/9gatu60.htm
http://biwa28.lolipop.jp/msearch152/drugstore/Table32.htm#6187
http://kawasakimidori.main.jp/webzukan/mokkoku.html
http://kanon1001.web.fc2.com/foto_sinrin/K_tubaki/mokkoku/mokkoku.htm
・「草木染め 染料植物図鑑」 山崎青樹/ 著 美術出版社
・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店


(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

| |

« トマト・アンデスの渋き風 | トップページ | ムラサキシキブ・引き立て役のうぐいす色 »

鎌倉染色彩時記(染)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« トマト・アンデスの渋き風 | トップページ | ムラサキシキブ・引き立て役のうぐいす色 »