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2013/10/13

ムラサキシキブ・引き立て役のうぐいす色

Murasakishikibu01

【学名】   Callicarpa japonica
【英名】   Japanese beautyberry
【別名】   みむらさき、玉紫(たまむらさき)、こめごめ
【科】      クマツヅラ科  (シソ科)

学名のCallicarpa(カリカルパ)は、ギリシャ語の 「callos(美しい)+carpos(果実)」が語源。 北海道南部、本州、四国、九州、沖縄、朝鮮半島、台湾、中国の山地に自生する植物です。

紫色の実をびっしりつけることから「紫敷き実・紫重み(むらさきしきみ)」と呼ばれていたものが、  いつのころからか源氏物語の作者紫式部を連想させてこの名になったとの説があります。

山野に自生するものは実が大きく、これより小振りの実が連なるようにつくものが「コムラサキ」とよばれ、園芸によく用いられています。
鎌倉の寺社にもよく見かけられ、特に大巧寺(おんめさま)のそれがとくに有名。
その気品ある紫の玉は、鎌倉に秋の深まりと冬の到来の近いことを告げます。

11月下旬、工房近くの漆芸のお店「龍山」の店先に見事な実を付けたムラサキシキブがあり、少し枝葉をわけていただきました。

煮出すと、その姿に似た切れのいい辛口の香りがします。
アルミでモスグリーン、鉄や銅で深いひき茶色や海松色になりました。
どの色もムラサキシキブの実の紫色をもっとも美しく引き立てるような色合いです。

実のつく前の夏の枝葉を乾燥させて生薬とします。
寄生性皮膚病には、生の葉を潰して、葉の汁を患部に塗布するか 乾燥した枝・葉を、適量の水で煎じた液を患部に塗布するとよいそうです。

ムラサキシキブの熟した果実を採取して、3倍量の35度ホウイトリカーと氷砂糖少し入れて、3〜4ヶ月程度で、ハーブの香りのするリキュールができます。

ムラサキシキブの同属の植物は、魚に有毒で人には無毒な成分があり、南太平洋のヤップ島やパラオ島では、野生するムラサキシキブやコムラサキ属の枝葉を、石で叩き潰した汁を流して魚を採る漁法があるそうです。

花言葉は、「聡明」「上品」「愛され上手」「聡明な女性」
10/18・10/21・11/4の誕生花。 秋の季語。

参照サイト/文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/ムラサキシキブ
http://www.hana300.com/
http://www.e-yakusou.com/
http://members.jcom.home.ne.jp/tink/botan/flower2/flowers.htm
http://plant-name.seesaa.net/
http://211831.jp/blog3/?p=133
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「続・草木染め 染料植物図鑑」 山崎青樹/ 著 美術出版社

(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

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