ニンジン・鎌倉野菜の粋な黄緑
【学名】 Daucus carota
【英名】 Carrot
【別名】 ナニンジン、セリニンジン
【生薬名】 コラフク(胡蘿蔔)
【科】 セリ科
もともとニンジンの名は、16世紀にアフガニスタンから中国経由で入ってくる以前にすでに日本にあった薬用ニンジンに根が似ていたことに由来します。
学名のcarotaはラテン語でこれがフランス語のcarotte、ひいては英語のcarrotの語源になりました。
また、この植物から発見されたことからカロチン(carotene, carrotene)という成分が命名されました。
明治時代になるまでは、葉も根と同様に食用にしていたそうです。
葉には、ピロリジン、ダウリンなどアルカロイドや精油を含むので特有の芳香があり、実はビタミンCは根より多く含まれます。
生薬としても長年用いられ、葉は保温性の入浴剤となるので、リウマチ、肩こり、関節痛などに効果がありますが、アレルギーのある人は要注意。葉を煎じた液でうがいをすると、口内炎、扁桃腺を癒す。昔は乳幼児の下痢止めにニンジンの根をすりおろして服用させたそうです。
西欧では、全草が薬草として使え、虫下し、視力向上、お乳の出をよくする、覚醒・興奮作用などに用いるとあります。
明治に橙色の西洋ニンジンが入ってくるまでは、日本では東洋ニンジン(今はそのうちの赤味が強く長い、京ニンジンが関西に残っている)が主流で、色も黄色や黒(!)がありました。
鎌倉駅近くの農協市場、通称「レンバイ」には、たっぷり葉のついたニンジンが夏場と冬場たくさん並びます。
かき揚げに、スープにと毎日利用してもまだ余るので、葉を使って染てみたところ、銅媒染で目にも鮮やかな黄緑を得ました。
レンバイで売られる農協野菜は、「鎌倉野菜」と呼ばれ、今ではすっかり人気のブランドです。ここでしか手に入らない珍しいハーブ類などを目当てにしているお客さんも多いです。
朝7時頃から鎌倉のレストランのシェフたちがその日の仕込みの買い物にやってきます。
夕方と違って、この時間帯は真剣に食材を選ぶプロ集団が溢れ、一種独特の緊張感が漂っています。
冬ニンジンが並ぶのはもう少しさきです。
花言葉は、「幼い夢」。
参考サイト/文献
・http://ja.wikipedia.org/wiki/ニンジン
・http://www.e-yakusou.com/
・http://www.hana300.com/
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink
・http://www.pfaf.org
・「薬草図鑑」伊沢凡人・会田民雄/著 家の光協会
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