ハギ・うつむいた白橡色
【学名】 Lespedeza japonica(シラハギ)
Lespedeza bicolor(ヤマハギ)
Lespedeza buergeri(キハギ)
Lespedeza cuneata(メドハギ)など数種あり。
【英名】 Bush clover, Japanese clover
【別名】 鹿鳴草(しかなぐさ)、そとな草、玉見草、庭見草
【生薬名】 夜関門 (メドハギ)
【科】 マメ科
学名のLespedeza(レスペデーザ)はハギ属を示すが、 18世紀後半のアメリカのフロリダ州知事のV・M・デ・セスペデス(Cespedes)の名が誤植で Lespedez になったことに由来するそうです。
「萩」は日本独自の漢字で、ほかに「芽子」「生芽」の字をあてることもあります。古くから日本人に親しまれ、『万葉集』で最もよく詠まれる花でもあり、鹿とセットで詠まれることが多いです。
原種はヤマハギ。ハギの語源は、生え芽(き)という意味で、古い株から芽を出すのでこの名がついたとも、ハギの小さい葉が歯牙(はぎ)に似ていることによるともいわれています。
メドハギは夜関門という生薬で、咳止め・去痰に用いる。またその茎は占いのぜいちくをつくる材料になります。
去年のちょうど今頃の10月の半ば、花が終わって剪定されたシラハギの枝葉を「萩の寺」として有名な宝戒寺より貰い受けて染めてみました。花が終わっていたこと、剪定の前に長雨であったことのせいか、どの媒染もたおやかな色合いとなりました。アルミ媒染で白橡(しろつるばみ=あかるいサンド・ベージュ)、鉄媒染の樺茶色(かばちゃいろ=カプチーノブラウン)が特に美しいです。
「見まく欲り恋ひつつ待ちし秋萩は花のみ咲きてならずかもあらむ」(見たくて恋しくて、咲くのを待っていた秋萩は、花だけで実にはならないのでしょうか。私のあの娘への恋は実るのでしょうか・・・)と万葉集にも歌われているように、マメ科でありながら、その可憐な花ほど実は目立ちません。
ですが、「和漢三才図絵」には「飢饉の際には実をついて粒を出し、炊いたりおかゆにするとよい」という記述が見当たります。
花をつけるほどに弓なりにしだれるハギの様は、奢ったりはしゃいだりする心を諌めるような、思慮深さを讃えた美しさがあります。
「しら露もこぼさぬ萩のうねりかな」松尾芭蕉
花言葉は、「思案」「前向きな恋」「想い」「内気」「物思い」10/1・10/15の誕生花。秋の季語。秋の七草のひとつ。
参考サイト/文献
・http://www.hana300.com/inumak.html
・http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
・http://ja.wikipedia.org/wiki/ハギ
・http://www.ohararyu.or.jp/kihondata/hagi.html
・http://yasousuki.exblog.jp/6973153/
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink/botan/flower2/flowers.htm
・「和漢三才図絵」
・「和漢薬」赤松 金芳 / 著医歯薬出版株式会社
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