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2013/10/14

ヒノキアスナロ・鎮静の櫨色(はじいろ)

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【学名】  hujopsis dolabrata Sieb. et Zucc. var. hondae Makino
【英名】     Hiba, False arborvitae, Hiba arborvitae (=いずれもアスナロ)
【別名】  アオモリヒバ(青森ヒバ)
【生薬名】 アスナロン(精油)
【科】      ヒノキ科 アスナロ属

アスナロ(翌檜、明日檜= 別名ヒバ(檜葉))の変種で、日本各地に自生する日本古来の針葉樹。
アスナロは、枕草子にも「あすはひの木(明日檜木)にや。世俗にあすならうといふ木なり。檜の木に似て、材木につかふ物也」という記述があり、実際輪島塗りの木地にも使われています。
アスナロ、ヒノキアスナロ、ヒバの名称は地方によって混同されていることが多く、特定するのは意外と難しいです。

ちなみに、井上靖さんの「あすなろ物語」のアスナロは、作者の郷里の方言でイヌマキを指していて、どうやらアスナロではないらしいです。

抗菌・抗カビ・抗ダニ作用にすぐれた効果をもつ「ヒノキチオール」という成分がありますね。
俗にヒノキの香りのもととして認識されていますが、実は日本のヒノキにはほとんど含まれていないことをご存知でしょうか。(!!)

ヒノキチオールをもっともよく含むのが、このヒノキアスナロからとれる精油「アスナロン」で、現在ではその抗菌作用、毛髪の発生/成長を促進させる作用により、創傷の治療薬、白癬の治療薬、円形脱毛症の治療薬、歯槽膿漏の治療薬などとして用いられています。
「抗菌」についてはニオイを嗅ぐだけでも効果があるという報告もあります。

「ヒノキチオール」の名前がついた背景には、最初これをよく含むタイワンヒノキ(ヒバの一種)から抽出されたことによるそうです。

ちなみにヒノキの香りの成分はアルファカジノール、アルファピネン、リモネン、アルファカジネン、 T-カジノールなどで、ヒノキチオールのそれとはやや異なりますが、やはりいい香り!

カジュの裏庭には、このヒノキアスナロの大木があり、晩秋から冬にかけて、葉が抜け替わり、たくさんの茶褐色の種子を落とします。

これを集めて染色してみた例は文献には見当たりませんが、。煮出し始めると、鍋からヒノキチオールの独特の香りの湯気が立ち上りました。嗚呼、いい気持ち。心もカラダの鎮まります。

銅媒染の櫨色(はじいろ=赤みのベージュ)がきれいでした。

この秋、ネイティブ・アメリカン(サーニッチ族)の友人、ポール・チェ・オクトゥン・ワーグナーがカナダから遊びに来てくれて、本場のドリームキャッチャーのワークショップをしてくれました。

サーニッチ族にとって、スギ、ヒノキ、アスナロなどのいわゆるシダー(cedar)は神聖な木とされていて、このドリームキャッチャーも必ずシダーで枠を作ります。
今回は、工房の庭にあるこのヒノキアスナロの枝をポールが自ら切って、材料にしました。

Dcws01 Dcws02 Dcws03
Dcws04 Dcws05 Dcws06
 

アスナロ(=ヒバ)の花言葉は、「不変の友情」「不死」「不滅」

参考サイト/文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/アスナロ
http://www.asahikawa-med.ac.jp
http://members.jcom.home.ne.jp/tink/
http://www.mir-world.com/hinoki.html
http://plantdb.ipc.miyakyo-u.ac.jp/php/view.php?plant_id=10803
http://www.hinokiminka.jp/hinokiminka/kaorinokouyou/
・「続々・草木染め 染料植物図鑑」 山崎青樹/ 著 美術出版社
・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店
・お話→きらくなたてものや(日高保氏)http://blog.goo.ne.jp/kirakunat/

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