« ネズミモチ・滋養強壮の焦げ茶色 | トップページ | ニンジン・鎌倉野菜の粋な黄緑 »

2013/10/13

ガマ・人助けのチョコレート色

Gamanoho01_2 Gamanoho02_2

【学名】  Typha latifolia L.
【英名】  Typha
【別名】  ミスグサ(御簾草)
【生薬名】 ホオウ(蒲黄=花粉)
【科】   ガマ科 

学名のTypha(ティファー)は、ギリシャ語の「沼(tiphos)」が語源。

葉と茎で、蓆(むしろ)・籠(かご)・簾(すだれ)をつくるので、御簾草(みすぐさ) という古名があります。
むしろを「組む」ことから   「くみ」(組)と呼ばれ、 次第に「かま」になり「がま」になった、という説や、日本語のルーツにあたるアルタイ語の葦(あし)を意味するカマが、日本語ではガマと呼ばれるようになったという説などが見当たります。

ガマの花粉は金粉のようで、江戸時代にはこれを蜜でこねて団子にしたものがおやつに売られていたといいます。
インドの一部や南太平洋の島では今でも花粉を練ってパンのようにして焼いて食用にしているといいますが、どなたか食べた方、いらっしゃいますか?

春先の若葉、根元の白い茎は、天ぷら、ゆでておひたしで食べられます。また花粉は、民間薬として昔から知られており、利尿作用の他、シャクヤクやトウキと一緒に服用すると、収斂生の出血を止める効能、そのまま塗れば、切り傷、火傷に効くといいます。

穂は晩秋にはじけ、綿毛となって飛び散るが、昔はこれを綿入れの中身としたり、灯心、火打石の発火物などに利用されてきました。

日本書紀にでてくる、オオクニヌシノミコトがサメに毛をむしられた因幡の白ウサギの話で用いられたのは穂の綿毛(→花粉)。日本で最初の薬草による医療行為の記録とされています。

穂が矛(ほこ)に似ているところからこれを蒲鉾とよんだ。魚肉のつみれで作る2世紀頃作られた日本最古の蒲鉾は、現在のものとちがい、まさに蒲の穂によく似た形をしていました。

Saikokamaboko(photo from here)

アルミで櫨色(はじいろ=赤みのベージュ)、銅で黄色味の茶色、鉄でチョコレート色。どれも穂の色を連想させる温か味のある色です。

花言葉は、「無分別」「慌て者」「従順」「素直」「救護」「慈愛」「包容力がある人」。

参照サイト/文献
http://www.e-yakusou.com/
http://www.hana300.com/
http://members.jcom.home.ne.jp/tink/
http://www.e-sutokama.com/kamaboko/type.html#rekishi
・「季節の野草・山草図鑑」高村忠彦/監修  日本文芸社
・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店
・「和漢三才図絵」第97巻/寺島良安
・「食べる薬草事典」村上幸太郎/著 農分協

(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

| |

« ネズミモチ・滋養強壮の焦げ茶色 | トップページ | ニンジン・鎌倉野菜の粋な黄緑 »

鎌倉染色彩時記(染)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ネズミモチ・滋養強壮の焦げ茶色 | トップページ | ニンジン・鎌倉野菜の粋な黄緑 »