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2013/10/21

イチョウ・鬼門封じの枯茶色

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【学名】   Ginkgo biloba
【英名】   Ginkgo, Maidenhair Tree
【別名】   鴨脚樹(おうきゃくじゅ)
【生薬名】  白果仁(はくかじん=実)
【科】    イチョウ科

 

中生代から原生し、なんと、1億5千年前のジュラ紀に全盛を誇ったという裸子植物。
世界各地で化石が見つかっていますが、現存するのは中国や日本など極限られた地域のみ。明治時代に来日したモース博士が、イチョウを見てたいそう驚いたという記録があります。
一科一属一種で他に似た木は存在しません。

中国原産という説が有力です。学名のGinkgoは、18世紀に日本に滞在したドイツ人の医師で 植物学者のケンペルが著書「廻国奇観」の中で「銀杏」を「ギンキョウ」と誤って読んだものが、さらにその後の誤植によってygがgに変わってしまい、今日に至っています。
英語名のMaidenhairはアジアンタム属のシダのことを指します。「乙女の髪」を意味し、これはこのシダの黒くて艶のある髪の毛のような茎又は黒っぽい根毛の集まりに由来します。アジアンタムの葉がイチョウに似ていることからMaidenhairTreeとなったようです。

中国で「鴨脚樹」と言われるのは、葉をアヒルの脚に見立ててのこと。
これを中国読みで「イアチァオ」といったのが転じて「イチョウ」になった、また、「一葉」が訛った、などの説があります。

工房のすぐとなりに荏柄天神社(えがらてんじんじゃ)という小さな神社があります。昔よく誰もいない境内で遊びました。
後に、それまでずっとほったらかし状態だったのが急に整備され、今では受験シーズンには行列ができる人気神社になりました。
聞けば、福岡の太宰府天満宮、京都の北野天満宮と共に三天神社と称される古い縁起の由緒正しき神社なのだそうです。

長治元年(1104年)雷雨とともに黒い束帯姿の天神画像が今の荏柄天神の場所に降りたち、その後、里人が社殿を建ててその画像を納め祀ったのが始まりとされます。

工房の南西には、三度移転したといわれる鎌倉幕府の、最初の「大蔵幕府」跡地があります。ちょうど荏柄天神の場所はそこから北東、つまり鬼門にあたります。

治承4年(1180年)に、源頼朝がこの荏柄天神を鬼門の守護神と仰ぎ、更めて社殿を造立しなおしたと伝えられています。

実は、ここには樹齢900年ともいわれる鎌倉市指定天然記念物の御神木の大銀杏があります。(有名な鶴岡八幡宮の大銀杏よりずっと古いのです!)

江戸時代の百科事典「和漢三才図絵」には、医術・易占をおこなう方術家がこの木をとって呪文を刻むと鬼神を操れるという記述があります。この神社にイチョウが植えられたのは、鬼門封じのためだったのでしょうね。)

イチョウは雄雌異株。この荏柄天神の大銀杏は、枝を大きく広げた雌の木で、11月ごろその独特の異臭とともにたくさんのギンナンをつけます。

数年前、既に散り始めた黄色い葉をいただいて染めてみました。どれもどっしりとした渋い色合いです。アルミ媒染で飴色、銅媒染で璃寛茶(りかんちゃ)色、鉄で枯茶(からちゃ)色など。
どれも包容力のある色味です。

ギンナンは「白果仁」という生薬で、鎮咳去痰、コレステロール値を低下させる効果などがあります。
また、イチョウ葉は、日本からヨーロッパへ渡り、1960年代にドイツでイチョウ葉エキスとして開発され、現在ではヨーロッパ各地で認知症や血流改善、老化防止などの医薬品として扱われています。

夏の勢いのある緑葉を乾燥させたものをお茶として飲むと同様の効果が期待できます。天神さまのイチョウなら、他のご利益も期待できる・・・かもしれませんね。(笑)

「銀杏の花」「芽」は春の季語、「銀杏黄葉」「銀杏散る」は秋の季語、「銀杏落葉」「銀杏枯る」で冬の季語。

花言葉は、「長寿」「しとやか」「鎮魂」。 
10/26・11/21の誕生花。

参考サイト/文献

・http://ja.wikipedia.org/wiki/イチョウ
・http://www.e-yakusou.com/
・http://www.geocities.jp/kinomemocho/zatu_e-name.html
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink/botan/flower2/flowers.htm
・http://www1.kamakuranet.ne.jp/egara/
・http://www.bbs-nara.com/ichouha.html
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「続・草木染め 染料植物図鑑」 山崎青樹/ 著 美術出版社
・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店
・「和漢三才図絵」 第87巻

(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

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