« 2013/11/18 | トップページ | 2013/12/22 »

2013/11/19

2013/11/19

セイタカアワダチソウ・若草色は自滅の序曲

Seitaka03 Seitaka02

【学名】   Solidago canadensis,  Solidago altissima
【英名】   Canada goldenrod
【別名】   セイタカアキノキリンソウ
【科】     キク科

      

花粉症などのアレルギーを引き起こす元凶のように言われていますが、実はよく似たブタクサ(クワモドキ)と混同されているいるだけで、全くの濡れ衣!!
ブタクサは花粉を風が運びますが、セイタカは虫が運ぶので、風に舞うことはほとんどないのです。セイタカさん、ごめんなさいっ。

マリーゴールドなどで知られているアレロパシー(allelopathy =多感作用)。ほかの植物の発芽を抑制する化学物質を出して、自らの種の勢力を保つ力のことをいいますが、セイタカアワダチソウは、その強いアレロパシー作用によって、大きな群生になりやすいのです。ふむふむ、確かに初夏から晩秋にかけて、野原の覇道をススキと争っている感じですねぇ。

ところが、あまりにも大きな群生に成長すると、今度は自らのアレロパシー作用で自滅してしまうのです!!
天敵知らずの強いものは、自分が一番の敵になってしまうということですね。・・・人間みたい。

アレルギーの元凶という濡れ衣を脱いでみれば、実は昨今、ぜんそくやアトピーへの効能が注目されているというから驚きです。
茎・葉はもちろん、開花前の花穂の蜜の中に酵素が多くあるそうで、 開花直前のものを採取して水洗い、陽干し、刻んで、紙袋など通気性のあるもので保存。これを入浴剤として用いることで、アレルギー性皮膚炎などへの効果が期待できます。

染めには茎・葉を用いますが、アルミ媒染で、夏の初めはやや緑がかった透明感のある黄色、秋口は深みのある黄色となります。

煮出すと、キク科独特の、きりりとした芳香が漂い、気持ちがすっきりします。確かにぜんそくには効きそうな感じ・・・。お風呂に入れるのもよいです。

花言葉は「元気」「生命力」「威張らないで」

参考サイト/文献

http://www.e-yakusou.com/
http://www.kusaki.net/
http://www.hanakotoba.name/
http://www.ffj.jp/hanakotoba/index.htm
http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
・「草木染め 染料植物図鑑」 山崎青樹/ 著 美術出版社 
・「薬草図鑑」伊沢凡人・会田民雄/著 家の光協会
・「季節の野草・山草図鑑」高村忠彦/監修  日本文芸社
・「アレロパシー」E. L. Rice/著 学会出版センター

(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

| | | コメント (0)

キツネノボタン・毒草の闇色

Kitsunenobotan01

【学名】   Ranunculus silerifolius
【英名】   Buttercup
【別名 】       コンペイトウグサ
【生薬名】 キツネノボタン
【科】   キンポウゲ科 

日本各地の湿気の多い所に自生する多年草。
葉っぱが牡丹に似ているが、それを裏切るような黄色い小さな花が咲きます。また、初夏に花が咲いたあとにできる実がコンペイ糖に似ていることが別名「コンペイトウグサ」の由来です。

「キツネ」と名のつく植物には毒のあるものや味がきつくて食べられないものが多くあります。これはキツ=きついを表しているからだそうで、このキツネノボタンも毒草のくくりに入ります。

学名にもあるように、汁液に「Ranunculin(ラヌンクリン)」という物質が含まれており、これが空気に触れると「プロトアネモニン」という物質に変わる。これが皮膚に付着するとひどくかぶれるので、採取は素手で行なわないように注意が必要です。
薬として「扁桃炎に、生葉を大豆粒の大きさに切って片方の腕の手首の内側に貼り、軽く包帯を巻き5〜10分したら取り去る」という民間療法も伝えられていますが、素人は行なわないほうがよいでしょう。

写真は5月中旬に東御門を流れる二階堂川支流のコンクリートべりに咲いていたもの。
鎌倉では谷戸(やと)の湿り気の多い崖や森によく見ることができます。

ケキツネノボタン(R. cantoniensis)、コキツネノボタン(R. chinensis) 、シマキツネノボタン(R. sieboldii)、トゲミノキツネノボタン(R. muricatus)などの仲間があり、コキツネノボタンが「神奈川県レッドデータブック2006」で絶滅危惧ⅠA類に入っています。

花の咲いている時期に花、茎、葉を煮出したところ、少量でとても濃いベンガラ色の染液がとれました。アルミ媒染でウールが鮮やかな黄色、鉄では闇のような暗黒色になりました。毒草、やはり裏切りません。(笑)

花言葉は「騙ましうち」「ひとりぼっち」。

参考サイト/文献

http://www.e-yakusou.com/
http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/キツネノボタン
http://www.e-tanzawa.jp/rdb06/
http://www.geocities.jp/powderroom8520/poisonous.html
http://yasousuki.exblog.jp/6801777/
http://gogen-allguide.com/
・「季節の野草・山草図鑑」 高村忠彦/ 監修 日本文芸社
・「よくわかる大図鑑」今井國勝・今井万岐子/著 永岡書店

(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

| | | コメント (0)

トチノキ・あっと驚く樺色(かばいろ)

Tochinoki02

【学名】  Aesculus turbinata
【英名】  Japanese horse chestnut 
【生薬名】 七葉樹(ヒチヨウジュ) 
【科】   トチノキ科 

日本に自生する樹木の中で最も背の高い木の一つ。
比較的寒い場所に自生するので、残念ながら鎌倉では自生ではみられませんが、二階堂の知人宅に庭木として植えられているトチノキの枝葉を、剪定時にいただくことができました。

和名の由来には、トは十で実が多いことを表すという説や、朝鮮語に由来する説などがあります。橡、栃、などのジを当てる他に7枚の小葉をもつ掌状複葉が対生してつく様子から、「七葉樹」と綴ることも。
昔話にでてくる天狗のうちわは、トチノキの葉を模したものといわれています。材は臼、鉢などの工芸品の材料となり、実は渋を抜いたものをトチモチの原料になります。 近種のセイヨウトチノキは「マロニエ」の名で知られていますね。

栃の実は縄文時代から重要な食料で、 どんぐりなどとともに主食の一部だったそうです。
栃の実から、そばに似た「栃麺(とちめん)」を作ったそうですが、粉を練ったものがすぐに固まってしまうためにあわてて麺棒をふるう必要がありました。「栃麺、棒をふるう」 →「栃麺、棒を食らう」 →「麺、棒を食らう」 →「麺、食らう→「面食らう」と変化し、”あわてふためく”の意味となりました。

夏に採取した樹皮、秋に採取した種子を日干しにしたものを葉の若葉とともに生薬の七葉樹といいます。
寄生性皮膚病やたむしなどには、若芽から出る粘液をそのまま塗布します。樹皮を煎じたものは下痢止めに、実を煎じたものはしもやけや痔に用います。

俳諧では、「橡の芽」は春の、「橡の花」は夏の、「橡の実」「橡の実団子」は秋の季語。当然ながら、栃木県の県木であります。

枝葉は煮出すと赤茶の液となり、これを一晩寝かせて用いたところ,アルミで樺色、 銅で枯茶(からちゃ)色、鉄で海松色(みるいろ)を得ました。蒸気はタンニン臭が強く、頭が冴え冴えとしてきます。

花言葉は、「贅沢」。

参考サイト/文献

http://www.hana300.com/
http://www.e-yakusou.com/
http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/トチノキ
http://members.jcom.home.ne.jp/tink/
・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館

(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

| | | コメント (0)

ノブドウ・鎌倉の秋色

Nobudo01 Nobudo02_2

【学名】  Ampelopsis brevipedunculata Trautv
【英名】  Wild grape, Porcelain berry, Porcelain Ivy
【別名】  ザトウエビ
【生薬名】 ジャホウトウ(蛇葡萄)
【科】   ブドウ科 

ススキの穂がプラチナ色になる頃、鎌倉の里山ではノブドウの実を見ることができます。ヤマブドウとはちがい、ブドウ、と呼べるほど「房」にはなりません。小さな実がプツプツと緑の間に飛んでいる感じです。

ヤマブドウはそのまま食べられますが、ノブドウは残念ながら食用になりません。が、ノブドウ酒にして薬として用いることはできます。

実が大きく肥大して、一粒一粒異なった美しい赤や紫の色合いをしている場合は、ブドウタマバエやブドウトリバガなどによってできた「虫こぶ」です。これを特に「ノブドウミフクレフシ」といいます。その七色の虫こぶは、まさに野の宝石の風情。

これを別名で「ザトウエビ」。この虫こぶ化した実を、座頭(盲人)の眼球の色に見立て、「盲人の眼球に似た実をつけるエビヅル」という意味からきているそうです。

Nobudo03   ← photo from here.

茎葉、根茎を、秋に掘り取り、水洗いして小さく刻み日干しにして乾燥させたものを生薬(しょうやく)で、茎葉を蛇葡萄(じゃほとう)、根を蛇葡萄根(じゃほとうこん)といい、関節痛などには、煎じて服用するといいといわれています。

【ノブドウ酒】:ノブドウ300〜500g、氷砂糖500g,焼酎1.8リットルを漬け込んで、約6ヶ月冷暗所におき、材料を引き上げる。糖尿病、肝臓病、腰痛・関節痛などに効き目があるといわれます。 「和漢三才図絵」にも「人は好んでこの子(実)で酒をつくる。」の記述が見当たります。

つると葉を煮出してみたところ、アルミで芥子色、銅で麹塵 (きくじん)色、鉄で緑味の焦げ茶。どれもほっこりした鎌倉の秋の色合いです。

俳諧では、秋の季語。
花言葉は「あなたに頼みます」。

参考サイト/文献

http://www.e-yakusou.com/
http://members.jcom.home.ne.jp/tink
http://www.hana300.com/
・「虫こぶ入門」薄葉 重/著 八坂書房
・「薬草図鑑」伊沢凡人・会田民雄/著 家の光協会
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 3」 北隆館
・「和漢三才図絵」 第90巻

(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

| | | コメント (0)

ミツマタ・お金を支える璃寛茶(りかんちゃ)色

Mitsumata06 Mitsumata02

【学名】   Edgeworthia chrysantha Lindl.
【英名】   Oriental paperbush, Mitsumata
【別名】   ムスビギ、ミマタヤナギ、サキクサ(三枝)=古語
【生薬名】  新蒙花(しんもうか)/蒙花株(もうかじゅ)
【科】    ジンチョウゲ科 

原産地は中国中南部、ヒマラヤ地方。江戸時代初期に渡来しました。
となると、
  春されば/まず三枝(さきくさ)の/幸(さき)くあらば
  後(のち)にも逢はむ/な恋(こ)ひそ/吾妹(わぎも)
  -柿本人麻呂
の歌の三枝はジンチョウゲ科の別の植物ということになるようです。ミツマタの名のとおり、枝がきれいに三角に生えています。

Mitsumata04

紙すきに用いられるようになったのは江戸時代前期ごろからといわれ、徳川家康が伊豆でミツマタの紙すきをすすめたとされますが、和漢三才図絵には「杖椏(きのまた)はみな三叉で葉は水柳(かわやなぎ)に似ている。小黄花を開き房になる。」という簡単な紹介があるだけで、紙に漉くなどの記述はありません。
シワになりにくく、丈夫で虫に食われにくいことから、明治9年に政府がミツマタで紙幣を作って以来、現在まで紙幣や証紙など重要な書類の紙に使われています。

開花期の花蕾を採取して乾燥させたものを生薬で新蒙花(しんもうか)、蒙花株(もうかじゅ)といいます。根も薬用に用います。
煎じて服用すると、解熱(げねつ)、消炎、眼病薬として緑内障、鳥目(とりめ)などに効能。

北鎌倉の浄智寺に4月にお邪魔した際、染めてみたくて、花の終わった剪定の枝を少し分けていただいたことがあります。

アルミで、その花の色を移したようなやさしい淡黄色を得ました。
銅の梅幸茶 (ばいこうちゃ)色、鉄の璃寛茶 (りかんちゃ)色も美しく、紙に漉いたときに現れる「強さ」が感じられます。

俳句では、花は春の季語、「三椏の皮剥ぐ」「三椏蒸す」は冬の季語。

花言葉は「意外な思い」「強靭」。

参考サイト/文献

http://members.jcom.home.ne.jp/tink
http://www.hana300.com/
http://kawasakimidori.main.jp/
http://www.e-yakusou.com/
・「樹木大図説」 上原 敬二 / 著 有明書房
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 2」 北隆館
・「季節の野草・山草図鑑」高村忠彦/監修  日本文芸社
・「和漢三才図絵」/寺島良安 第84巻

(C) たなか牧子造形工房  禁転載

| | | コメント (0)

« 2013/11/18 | トップページ | 2013/12/22 »