ヒイラギナンテン・ギザギザハートの黄檗色 (きはだいろ)
【学名】 Mahonia japonica
【英名】 Japanese Mahonia
【別名】 トウナンテン(唐南天)
【科】 メギ科
学名のMahonia(マホニア)は、19世紀のアメリカの植物学者、McMahon(マクマホン)の名前に由来します。
「ヒイラギ」ではなく、実はナンテンの仲間で、葉がヒイラギに似ていることからこの名があります。ヒイラギよりも葉のギザギザ感が目立って見えるのは、葉の色が明るいからでしょうか。マンガで、驚きや怒りの台詞を囲むギザギザの吹き出しをどうも連想してしまいます。
台湾、中国、ヒマラヤ原産で、日本には天和〜貞享年間(1681〜1688)に渡来したといわれています。 日本各地でも庭木として親しまれている一方で、乾燥に強い特性を生かし、緑地化に一役買っている植物でもあります。
自宅の玄関脇にヒイラギナンテンが一株あるのですが、この周りを野良猫が「トイレ」にしていて、何度も撃退を試みるのでがうまくいかず、最近はナニを土の中に埋めるだけにしておりましたところ,これがいい肥料になったようで、それは見事にすくすくと育っております。
初夏に黄色の花をたわわにつけ、そのあと、青黒い実をたくさん付けます。
実をつぶしてみると、ブルーベリーのような濃い赤紫の汁がほとばしったので、染めてみたところ、染液は美しい赤紫になったのですが、残念ながら、どの媒染でも赤茶どまり・・・。
枝は、切り口を見たら、見事な黄色だったので葉といっしょに煮出してみたところ、アルミ、スズで 美しい黄檗色を得ました。まさに花の色でした。
和漢薬の世界では特に薬効に記述が見当たりませんが、イギリスのPlants For A Futureというサイトには「実は食用になり(食べてみたが美味しくないぞ・・・)、葉には解熱作用、癌ヘの抵抗力を高める作用。種は解熱と強壮。根と茎はリューマチ、咳、痰に薬効、また自浄作用を助ける。煎じれば、骨折時の発熱、めまい、耳鳴り、腰痛、膝痛、下痢、腸炎に薬効」の記述があります。
花言葉は、「激しい感情」・・・ふむ、やはりギザギザの吹き出しが似合うようです。
参考サイト/文献
・http://www.e-yakusou.com/
・http://www.pfaf.org/database/plants.php?Mahonia+japonica
・http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink/
・「ウールの植物染色」 寺村 祐子/著 文化出版局
・「草木染め 染料植物図鑑」 山崎青樹/ 著 美術出版社
・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店
(c) たなか牧子造形工房・禁転載
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