トチノキ・あっと驚く樺色(かばいろ)
【学名】 Aesculus turbinata
【英名】 Japanese horse chestnut
【生薬名】 七葉樹(ヒチヨウジュ)
【科】 トチノキ科
日本に自生する樹木の中で最も背の高い木の一つ。
比較的寒い場所に自生するので、残念ながら鎌倉では自生ではみられませんが、二階堂の知人宅に庭木として植えられているトチノキの枝葉を、剪定時にいただくことができました。
和名の由来には、トは十で実が多いことを表すという説や、朝鮮語に由来する説などがあります。橡、栃、などのジを当てる他に7枚の小葉をもつ掌状複葉が対生してつく様子から、「七葉樹」と綴ることも。
昔話にでてくる天狗のうちわは、トチノキの葉を模したものといわれています。材は臼、鉢などの工芸品の材料となり、実は渋を抜いたものをトチモチの原料になります。 近種のセイヨウトチノキは「マロニエ」の名で知られていますね。
栃の実は縄文時代から重要な食料で、 どんぐりなどとともに主食の一部だったそうです。
栃の実から、そばに似た「栃麺(とちめん)」を作ったそうですが、粉を練ったものがすぐに固まってしまうためにあわてて麺棒をふるう必要がありました。「栃麺、棒をふるう」 →「栃麺、棒を食らう」 →「麺、棒を食らう」 →「麺、食らう→「面食らう」と変化し、”あわてふためく”の意味となりました。
夏に採取した樹皮、秋に採取した種子を日干しにしたものを葉の若葉とともに生薬の七葉樹といいます。
寄生性皮膚病やたむしなどには、若芽から出る粘液をそのまま塗布します。樹皮を煎じたものは下痢止めに、実を煎じたものはしもやけや痔に用います。
俳諧では、「橡の芽」は春の、「橡の花」は夏の、「橡の実」「橡の実団子」は秋の季語。当然ながら、栃木県の県木であります。
枝葉は煮出すと赤茶の液となり、これを一晩寝かせて用いたところ,アルミで樺色、 銅で枯茶(からちゃ)色、鉄で海松色(みるいろ)を得ました。蒸気はタンニン臭が強く、頭が冴え冴えとしてきます。
花言葉は、「贅沢」。
参考サイト/文献
・http://www.hana300.com/
・http://www.e-yakusou.com/
・http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
・http://ja.wikipedia.org/wiki/トチノキ
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink/
・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
| 固定リンク | 0
「鎌倉染色彩時記(染)」カテゴリの記事
- ナラタケモドキ・日陰者の白橡(しろつるばみ)(2024.12.19)
- タンキリマメ・日常の幸せは藍海松茶(あいみるちゃ)(2024.12.18)
- シャガ・蝶の化身は青丹(あおに)色(2024.12.12)
- ウイキョウ・妖怪召喚の蒸栗色(むしぐりいろ)(2024.11.29)
- カイヅカイブキ・昇り竜は萱草色(かんぞういろ)(2024.11.28)
コメント