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2013/12/23

2013/12/23

サルスベリ・雄弁な黒

Sarusuberi03

【学名】   Lagerstroemia indica
【英名】   Crape myrtle
【別名】   百日紅(ヒャクジツコウ)、怕痒樹(ハクヨウジュ)、くすぐりの木、紫薇花(シビバナ)
【科】    ミソハギ科

中国南部原産。江戸時代に渡来しました。
猿が滑り落ちるほど、木肌がツルツルしていることが名の由来。また「百日紅」は、花が3ヶ月以上咲き続けることから。

鎌倉でも人家の庭先によく見かけ、白、ピンク、紫の軽やかな花は、真夏に涼しさを演出しています。
カジュの隣りに大木があり、夏になると、縮れた花房が毎日のように回廊に落ちて、とても美しいです。
次々と花を咲かせるこの様子を、元禄時代の俳人、加賀の千代女は、 「散れば咲き  散れば咲きして  百日紅」 と詠んでいます。

暑い夏に、3ヶ月も花を咲かせ続けるパワーのある木であるので、「なにかやってくれるに違いない」と思い、花の時期に折れて落ちた枝を集めて染めてみたところ、ザクロに準ずる堅牢な色を得たました。特に鉄媒染のが華やかです。

「和漢三才図絵」では、「百日紅」と「猿滑」を同一の別種ととらえ、花のつくものを百日紅、つかないものを猿滑と区別していますが、実際はよくわかりません。
「酒屋では搾木(しめぎ)に用いている」との記述も見当り、どうやら、もろみを酒袋にいれて、それを圧縮して酒を搾り出す搾り機=「ふね」をサルスベリで作っていたらしいです。

Sarusuberi_shimegi   (photo from here.)

同じ属のオオサルスベリは、別名「バナバ」といい、葉を乾燥させたものがバナバ茶とよばれ、昨今健康茶として人気を集めています。

花言葉は、「雄弁」「愛敬」。8/5の誕生花。

http://had0.big.ous.ac.jp
http://ja.wikipedia.org/wiki/サルスベリ
http://www.hana300.com/benika.html
http://members.jcom.home.ne.jp/tink/botan/flower2/flowers.htm
http://plant-name.seesaa.net/
・「和漢三才図絵」第84巻
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店
・「続・草木染め 染料植物図鑑」 山崎青樹/ 著 美術出版社

   

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クマザサ・ほっと一息の砂色

Kumazasa01

【学名】   Sasa veitchii var. veitchii /  Sasa veitchii Rehder et Shibata
【英名】   Bamboo grass (笹)
【別名】   ヘリトリザサ(縁取笹) 
【科】    イネ科

 

カジュの玄関回りには何種類かの笹、竹が生えています。シノダケ、クロチク、スズタケ、そしてクマザサ。

印象は地味なれど、ちょっと放っておくと、庭がすべて笹と竹になるのではと思うほどの勢いがあり、油断できません。

竹も笹もイネ科ササ属の植物ですが、若い芽(タケノコ)がのびていく際、皮が剥けて落ちていくのが「タケ」、剥けずに残る(あるいはそもそも皮がない)ものが「ササ」とされています。但し、名前に「○○チク」や「○○ダケ」がついていても実は「ササ」というものもかなりあるそうなので、ちょっと厄介です。

属名が sasaであることからわかるように、朝鮮半島などにも分布は見られますが、ササは日本特有の植物とされます。余談ですが、春になるとタケノコが楽しみな孟宗竹。実はこれ、江戸時代に中国から渡ってきた竹で、それまでの日本で竹といえばマダケ、シノダケ、クロチクなどでした。古民家の土壁の芯になるのは、シノダケの支柱にマダケを割いた桟を編みつける「竹子舞」。孟宗竹は肉が厚すぎて向かないそうです。・・・あ、絵本で、かぐや姫が、太い竹から小判と一緒に出てくる挿絵、あれも間違いなんですね!

「熊笹」と思われがちですが、実は「隈笹」。春から秋口までの葉は緑の色が明るく無地ですが、寒くなり始めると葉のふちが白く隈取りされたようになり緑も濃くなります。

クマザサに限らず、ササ全般には、かなりの薬効があります。
ササの成分のササ多糖類(バンフォリン)には、抗癌作用があり、ガン細胞の増殖を抑制する作用があるとされます。また、ササ類には蛋白質、多糖体、葉緑素、カルシウム、ビタミン類がバランスよく含まれています。
さらに、強心作用のあるフラボン誘導体などの有効成分は若葉のときに一番含まれているとされます。
口内炎や口臭などの原因の虫歯、歯槽膿漏や胃炎、胃潰瘍などには、クマザサに含まれるビタミンKの抗菌作用、抗炎症作用、免疫力を高めて雑菌の増殖を抑制するとされます。昔から笹の葉は、たべものを腐らせないよう包むのに使われていたことからも、その抗菌作用の効能がわかりますね。

用いるときは、青汁にするかお茶で。クマザサ茶は、クマザサを入れて10〜40分、70〜80℃を保って蒸らして飲みます。(沸騰させてしまうと有効成分が破壊されてしまうので注意。)

織りをしていて、糸の配色を考えるとき、全体の緊張をほぐすような「すこん!」と抜いてくれる色が欲しいと思うことがあります。でも白では強過ぎる・・・というとき、このクマザサと鉄媒染で得られる砂色に大いに助けられています。どの媒染でも、はっきり言って、ほとんど染まらない。その「ほとんど」というニュアンスが、ときに、とても重要になるのです。

薬効が色に反映されるとしたら、染色の場合も沸騰させずに抽出するほうが、濃い色になるかも。でも、クマザザはこの「ほとんど染まらん」のニュアンスが愛おしい。

花言葉は、「抱擁」「孤高」。

・http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
・http://www.e-yakusou.com/
・http://www.hana300.com/
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink
・「薬草図鑑」伊沢凡人・会田民雄/著 家の光協会
・「続々・草木染め 染料植物図鑑」 山崎青樹/ 著 美術出版社

(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

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