オシロイバナ・化粧際立つ黒緑
【学名】 Mirabilis jarapa L.
【英名】 marvel of Peru(ペルーの不思議), four o'clock
【別名】 ユウゲショウ(夕化粧)
【生薬名】 紫茉莉(しまつり、しまり)
【科】 オシロイバナ科
南米が原産(英語名に"ペルーの不思議"とあるのでわかりますね。)で、江戸時代に観賞用として渡来しました。以来、日本全国の野原で自生しているものが見られます。鎌倉でも夏にはあちこちの空き地で旺盛に葉を茂らしているのをみることができます。
1本の草からいろいろな色の花が咲くことから 、学名のMirabilisは、ラテン語で「驚異」 「不思議な、素敵な」の意味。もうひとつの英語名four o'clock(午後4時)は夕方から咲き始めることから。
フランスでは、朝まで咲くのでbelle-de-nuit(夜の美人)と呼ばれているそうです。
和名は、胚乳が白粉状であるところから、江戸時代の学者・貝原益軒が名付けました。月見草のように、夕方に花が開くので別名「夕化粧」とも呼ばれます。
生薬では「紫茉莉」といい、乾燥した塊根を刻み5~15グラム、水0.6リットルで半量まで煎じて、1日2回食前に服用すると、強い利尿作用が期待できます。
ニキビ、吹き出物には、外用として、種の中の白い粉を水で濡らして、1日数回患部に塗布するとよいそうです。
「和漢三才図絵」には「白粉草(おしろいぐさ)の名で、「種が胡椒のような黒い粒で、中に白い粉が入っている。これを採って婦人の顔に塗る。鉱物の白粉より光沢があってよい。また葉をもんで打ち身や疥癬に塗るとよい。」の記述があります。
近所のお宅の玄関先に、自然に生えてきたというオシロイバナ株があり、夏に少し枝葉いただいて煮出したことがあります。液は薄黄色で、それを一晩置いてみたところ、なんと黒い液に変化しました! どの媒染でも一様に大変渋い黒色調で、特に鉄媒染では、まるで「白粉」を際立たせるかのような美しい緑味の黒を得ました。
「金化粧」「銀化粧」「野茉莉(のまつり)」「紫茉莉」「燕脂花(えんしか)」「夕錦(ゆうにしき)」等と呼ばれ、ともに秋の季語。
花言葉は、全般で「あなたを思う」「臆病」「内気」「不思議な気持ち」「私は恋を疑う」「私は逃亡する」。特に赤い花では「不思議な」「慎重」。7/28・8/1の誕生花。
・http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
・http://www.e-yakusou.com/
・http://www.hana300.com/
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「和漢三才図絵」94の巻
・「和漢薬」赤松 金芳 / 著医歯薬出版株式会社
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
| 固定リンク | 0
「鎌倉染色彩時記(染)」カテゴリの記事
- ウイキョウ・妖怪召喚の蒸栗色(むしぐりいろ)(2024.11.29)
- カイヅカイブキ・昇り竜は萱草色(かんぞういろ)(2024.11.28)
- レモングラス・爽やかすぎる草色(2024.11.13)
- シークワーサー・南国発の淡黄色(2024.11.12)
- メラレウカ・ふとももパワーの漆黒(2024.10.30)
コメント