サルスベリ・雄弁な黒
【学名】 Lagerstroemia indica
【英名】 Crape myrtle
【別名】 百日紅(ヒャクジツコウ)、怕痒樹(ハクヨウジュ)、くすぐりの木、紫薇花(シビバナ)
【科】 ミソハギ科
中国南部原産。江戸時代に渡来しました。
猿が滑り落ちるほど、木肌がツルツルしていることが名の由来。また「百日紅」は、花が3ヶ月以上咲き続けることから。
鎌倉でも人家の庭先によく見かけ、白、ピンク、紫の軽やかな花は、真夏に涼しさを演出しています。
カジュの隣りに大木があり、夏になると、縮れた花房が毎日のように回廊に落ちて、とても美しいです。
次々と花を咲かせるこの様子を、元禄時代の俳人、加賀の千代女は、
「散れば咲き 散れば咲きして 百日紅」 と詠んでいます。
暑い夏に、3ヶ月も花を咲かせ続けるパワーのある木であるので、「なにかやってくれるに違いない」と思い、花の時期に折れて落ちた枝を集めて染めてみたところ、ザクロに準ずる堅牢な色を得たました。特に鉄媒染の黒が華やかです。
「和漢三才図絵」では、「百日紅」と「猿滑」を同一の別種ととらえ、花のつくものを百日紅、つかないものを猿滑と区別していますが、実際はよくわかりません。
「酒屋では搾木(しめぎ)に用いている」との記述も見当り、どうやら、もろみを酒袋にいれて、それを圧縮して酒を搾り出す搾り機=「ふね」をサルスベリで作っていたらしいです。
(photo from here.)
同じ属のオオサルスベリは、別名「バナバ」といい、葉を乾燥させたものがバナバ茶とよばれ、昨今健康茶として人気を集めています。
花言葉は、「雄弁」「愛敬」。8/5の誕生花。
・http://had0.big.ous.ac.jp
・http://ja.wikipedia.org/wiki/サルスベリ
・http://www.hana300.com/benika.html
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink/botan/flower2/flowers.htm
・http://plant-name.seesaa.net/
・「和漢三才図絵」第84巻
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店
・「続・草木染め 染料植物図鑑」 山崎青樹/ 著 美術出版社
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