サンショウ・山吹色、見参!
【学名】 Zanthoxylum piperitum
【英名】 Prickly ash, Japanese pepper
【別名】 椒(はじかみ)、木の芽(→若葉)
【生薬名】 山椒
【科】 ミカン科
東アジア原産。雌雄異株。
学名のZanthoxylum は「サンショウ属 」、piperitum は「コショウのような」の意味。
イヌザンショウ(Fagara mantchurica)、カラスザンショウ(Zanthoxylum ailanthoides)、フユザンショウ(Zanthoxylum armatum)など、いくつか種類があります。
その種子は、生薬、薬味として古くから親しまれています。有効成分は、ジペンテン、シトロネラールなどの芳香。
サンショオール、サンショアミドの辛味成分は、大脳を刺激して内臓の働きを活性化する作用があります。胃腸の働きの弱くなった消化不良や消化不良が原因の胸苦しさ、みぞおちのつかえ、腹の冷え、腹部のガスの停滞、それに伴う腹痛に効果があるといわれています。(そういえば、ブータンのお料理にもよく使われていました。)
また、葉は保湿性の入浴剤となりますが、刺激が強いのでアレルギー性の皮膚病の場合は用いないこと。太い枝はすりこぎにします。
昔は「毒もみ」と呼ばれる、魚にとって毒である物質を流して根こそぎ獲るという漁法があり、サンショウの実の粉も使われていたそうです。(この漁法は明治時代になって法律で禁止されました。)
サンショウの実は薬酒にすることもできます。
[山椒酒]:
サンショウの果実(乾燥)100グラム、ホワイトリカー1.8リットル、グラニュー糖200グラムを6ヶ月程度おいてから、材料を引き上げ、布でこしてから、芳香健胃、整腸、腸内ガスの放出、解毒、食欲増進に1日杯1杯飲用。(1日に2回が限度。)食欲不振の場合は食前に飲用。
カジュの玄関先にも小さなサンショウの木があります。大きくなるとトゲが危ないので、剪定しがてら試染してみました。枝葉を煮出し始めると頭がクラクラするほど強い独特の芳香が部屋中に漂います。
染液自体はさほど濃い色にならないのに、少量でもたいへん濃い色が染まりました。銅はくっきりした茶、鉄では黒、そして、アルミでは、眠気も吹っ飛ぶ鮮やかな山吹色! 特にウールが美しいです。
どの色も、押しも押されぬというか、舞台にスター登場!というか、「よっ、待ってました!」と大向こうをかけたくなるような華のある色です。これで染めたものを身につけたら、それだけで病気が治りそうです。
大木、というのはなかなかないので、一度にたくさんの糸が染められないのがちょっと残念。おまけに、カジュの小さなサンショウは、一度も実をつけたことがないので雄の木らしい・・・。
花言葉は「健康」「魅惑」「好意」。11月22日の誕生花。
参考サイト/文献
・http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
・http://www.e-yakusou.com/
・http://ja.wikipedia.org/wiki/サンショウ
・http://www.hana300.com/
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink/botan/flower2/flowers.htm
・「生薬101の科学」 清水岑夫/著 講談社
・「薬草図鑑」伊沢凡人・会田民雄/著 家の光協会
・「続々・草木染め 染料植物図鑑」 山崎青樹/ 著 美術出版社
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