ツタ・一途な思いの宍色(ししいろ)

【学名】 Parthenocissus tricuspidata
【英名】 Ivy
【別名】 アマヅラ、ナツヅタ、モミジヅタ
【科】 ブドウ科
学名のParthenocissus は「ツタ属」 、tricuspidataは「三尖頭の」の意味があり、Parthenocissus(パルセノキッサス)は、ギリシャ語の「parthenos(処女)+ cissos(ツタ)」が語源だそうです。
アジアから北米にかけて10数種類あり、日本にはブドウ科の写真の種類が本州以南に自生しますが、北米ではウコギ科のキヅタをivyと称している場合が多いらしいです。
日本ツタが別名ナツヅタというのに対し、こちらは冬も緑の葉を付けていることからフユヅタの名があります。
染色家の山崎青樹氏は「樹木大図説」(上原 敬二 / 著 有明書房 )を引いて、ツタの名は「伝う」に由来すると説明しています。(このため、蔓状の植物を総称して「ツタ」と呼んだ時代があったといいます。)
枕草子に「あてなるもの(イイもの)」として「削り氷(かき氷)にあまづら入れて、新しき金鋺に入れたる」が挙げられていますが、この「あまずら」は、ナツヅタの蔓から採れる蜜で作る甘味料のこと。(アマチャヅルという説もあり。)平安時代後期になるまで砂糖は医薬品扱いの貴重なものでした。砂糖が普及するのは戦国時代からで、それまで、あまづらは水飴と並んで砂糖の代わりをしていました。太い蔓を切って、その片方の端を力一杯吹くと、もう一方の端から樹液が出てきます。試しに舐めてみました。わわっ、ほんのり甘い! これを集めて煮詰めると、あまづらができる! おもしろそう!
カジュのアプローチの壁は、このツタで覆われていて、夏は黒々と緑の葉を伝わせ、秋には、それはそれは豪華に紅葉します。毎年、壁がゴブラン織りのタピトリーがかかっているような様相になるのを、みんなで楽しんでいます。晩秋に黒い実をつけますが、食べてみたところ、大変渋かったので、ひょっとして、染色に向くかもしれません。
3年ほど前、春にカジュの庭のカエデやウメの木にせっせと寄生していたツタをとって、木質化したツルと葉を煮だしてみることにしました。
それにしても、寄生している木からひっぺがすのが一苦労。「いやっ! 離れたくないの!」と、想い人にしがみつく捨て身のヲンナという感じ。つるから伸びている根のような「まきひげ」の先端には、相手をぴたりとホールドする吸盤がついていて、容易に離すことができません。想い、一途です。
この時は、アルミでクリーム色、銅で古代色で言うところの宍色(ししいろ)(ピンク)が染まりました。
実のつく時期(秋)に十分な量があれば、銅媒染で濃い赤茶が得られます。
花言葉は、「誠実」「結婚」「勤勉」「永遠の愛」 11月17日の誕生花。

◎参考サイト/文献
・http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
・http://ja.wikipedia.org/wiki/ツタ
・http://www.hana300.com/tuta00.html
・「続々・草木染め 染料植物図鑑」 山崎青樹/ 著 美術出版社
・「樹木大図説」 上原 敬二 / 著 有明書房
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
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