イヌビエ・縄文の黄色
【学名】 Echinochloa crus-galli, Panicum crus-galli
【英名】 Barnyardgrass,Cock's-foot, Chicken-panic-grass
【科】 イネ科
日本および南アジア原産。
学名の「Echinochloa」は 「ヒエ属」を表し、 ギリシャ語の 「echinoa(ウニ)+ chloa(草)」に由来する。また「crus-galli」は「鶏の足」の意。
たしかに、穂の様は丸まっていればウニのような感じがするし、穂の形が鶏に似ていますね。
イヌビエには
・「タイヌビエ」(E. phyllopogon)
・「ケイヌビエ」(E crus-galli var. echinata, E crus-galli var.caudata)
・「ヒメイヌビエ」(E. crus-galli var. praticola)
などたくさんの種類があり、一見しただけではその違いを見極めるのは難しく、植物学上も複数の分類が存在するので、ここではその総称「イヌビエ」として扱います。
水田や放棄水田、路傍、荒れ地などに生育する一年草。水田雑草の中でもイネとよく似ているため、穂がつく前は区別がつきにくく、もっとも除草が難しいといわれているそうです。農家の方のご苦労が忍ばれます・・・。
鎌倉の野原にも夏になるとエノコログサ(ネコジャラシ)などに混じってたっぷりした穂を付けているのを目にします。
エノコログサが粟の原種なのに対して、こちらはヒエ(Echinochloa esculenta)の原種。
米の陰に隠れて、これらの雑穀はすっかり廃れてしまいましが、日本の風土には、かくも豊かにイネ科の雑穀の祖先が生きているのです。
縄文中期の遺跡である三内丸山遺跡(青森県青森市郊外)では多量のイネビエの種子が発掘されており、食用にされていたとの説があります。
ちなみに、ヒエの名は、寒冷地の作物であることから「冷え」が転じたそうです。
実際、北方民族であるアイヌは、ヒエを「ピヤパ」といい、長く主食としていました。
他のイネ科の植物と同様、イネ科特有の黄色からうぐいす色、カーキーグリーンなどが美しいです。
参考サイト/文献
・http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
・http://www2.mmc.atomi.ac.jp/
・http://www.hana300.com
・http://newpfaf.webhost4life.com/
・http://tarikidict.jugem.jp/?eid=45
・http://www.t-webcity.com/~plantdan/souhon/syousai/a-gyou/I1/inubie/inubie.html
・http://www.e-yakusou.com/
・「学生版 牧野日本植物図鑑」 牧野富太郎/著 北隆館
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